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<民論団論>私の韓国大統領選挙…韓国に一歩近づくために

東京・金元秀(自営業)
小さな1票大切にしたい

 在日2世の私が、1世たちのように韓国に対して、望郷の念にかられるということはない。では、韓国は自分の祖国かと問われれば、何ら否定するものではないが、日本で生まれ育った私は、韓国を自分の祖国だ、母国だと強く言えるほどの情感に至ってない。

韓国人意識に差

 在日の場合、育った家庭環境や地域などによって、韓国人という意識の芽生えに大きな差が出てくる。私の場合は40歳近くになってから、地元の在日同胞と関わるようになり、彼ら、彼女らの話を通して、在日子弟の悩みや同胞社会が抱える問題を知った。その後、独自で勉強を始めた。

 在日は本国への帰属意識が低いと言われる。周囲を見渡せば、在日のコミュニティーはなく、通名を名乗っているから誰が在日なのか分からない。若い世代の親ともなれば民族教育を受けていない方が圧倒的に多く、子どもに韓国語の一つも教えられない。

 一部の在日を除き、このような状況に直面しながら生きる在日の背景を考えれば、そう簡単に「帰属意識が低い」と言えるものではあるまい。だがこれは、何も若い世代に限ったことではないようだ。それは、12月に行われる大統領選挙前の登録申請でも顕著だ。

 同胞の仲間の年齢はまちまちだ。話は自然と大統領選挙におよぶ。「嬉しい」「韓国の政治に興味がない」「登録に行くのが面倒臭い」「大統領選挙より地方参政権獲得が先」という意見も出る。

 なかには、自身は韓国籍だが朝鮮学校出身者で、当時の友人もいる。その関係性を維持するために、「登録をすると韓国側の人間になったということを表明することになるから申請はしない」という話を聞き、在日だからと一括りで語れないほど、在日社会が多様性を帯び、複雑になってきているのだと感じさせられた。

考えは多様だが

 大統領選挙については個々人の考えがある。私に関して言えば、韓国が自分の祖国だと言えるにはまだ、距離を感じているものの、一つ言えるのは、韓国は父母の国だということだ。そこには父や母の故郷があり、親族、友人らが生活を営んでいる。私自身も父母の郷里や親族らと何度も触れ合うなかで、日本ではあまり感じることのできない心地良さを味わってきた。いつまでも、その環境が残り続けていくことを願っている。

 韓国は北韓問題をはじめ、さまざまな問題を抱えている。私自身、大統領選挙についてはいろいろな思いはあるが、緊張関係にある韓半島において、人権を踏みにじり、平和をいとわない北韓に追従する傾向の候補者だけには政権を握らせてはならないという意味で1票を投じたい。

 小さな1票ではあるが、父母の国である韓国が、これからも韓国として発展していくために。そして、私自身が韓国に一歩でも近づくために大切にしたいのだ。

(2012.10.3 民団新聞)
 

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