「生きるため」。韓国の排他的経済水域(EEZ)で不法操業を繰り返し、ついには韓国の海洋警察官2人を殺傷するまでになった中国の漁民たちは、そう語る。中国政府は「遺憾」の意を表明しても、漁民の反発を恐れてか厳しく取り締まる構えを見せていない。 漁民たちは韓国の摘発に戦々恐々としながらも、旨みの大きい不法操業を諦めるつもりはないらしい。韓国の世論は激昂しており、それに対して一部中国人も反発している。このままいけば、より重大な不測の事態が起きないとも限らない。 中国領海内の漁業資源枯渇が最大の要因と見て、韓国側からは養殖技術を提供しようとの見解もあるとか。中国側も漁民に対する指導徹底と合わせて、危険がともなう不法操業に出ずとも済むような救済策を講じるべきだ。 もう一つの「生きるため」。周知のように、国境を越えて中国に不法滞在する脱北者は増えることがあっても減ることはない趨勢にある。つい最近も、軍服を着た兵士8人が脱北し、2人が射殺されたと報道された。脱北を水際で食い止めるだけならまだしも、中国は潜伏中の脱北者を容赦なく摘発し、地獄の収容所が待つ北韓に送還しているのだ。もはや人非人の所業と言わざるを得ない。 「生きるため」という自国民の横暴には目をつむっても、隣国住民が生きんがために、必死に掴もうとするワラをもむしりとるようでは、宇宙開発で先駆しようが五輪で総合トップになろうが、尊敬される国家には絶対なれない。4大文明の発祥地という栄誉があり、なおかつ世界第2位の経済大国である中国の体面はどこにある。(O) (2011.12.21 民団新聞) |