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<布帳馬車>叫び続けた「ぜったい、死なねえぞ!」

 仙台と塩釜を結ぶ仙塩街道(国道45号線)に沿って、JR仙石線(仙台〜石巻)が走る。途中、観光地で有名な松島へとつながるだけに、沿線にはさまざまな店舗が並ぶ。

 その中間点、多賀城市のすぐ近くには海の玄関・仙台埠頭があり、フェリーターミナルとして韓国や中国をつなぎ、コンテナ船が往来する。コンベンションセンター「夢メッセみやぎ」やアウトレットなど、大規模なロードサイド店舗が集積し、にぎわいを見せていた。

 東日本大震災後、初めて現場を目にしたとき、仙塩街道は津波に直撃され、いたるところにがれきの山。かつての面影はなかった。特に多賀城周辺には自動車やコンテナの残骸が目についた。

 廃車の数は、岩手、宮城、福島の3県合わせて23万台を数える。うち、宮城県が14万6000台と半数を超え、県内登録車の1割を占める。どちらを向いても、まさしく「クルマの墓場」だ。処分がままならないため、ぼう大な量の廃車ががれきの移動を妨げていた。

 その多賀城でスクラップ・リサイクル業を営む同胞は業務・個人用のクルマ8台が被害を受けた。かと思えば、外部からは50台のクルマが流れ込んできたという。

 彼は震災の日、津波を背にしながら間一髪で高いビルに逃れることができた。家族に会いたい一心から、身を切るような冷たい水の中を一晩中歩きながら、こう叫び続けたという。「ぜったい、死なねえぞ!」。

 普段は和やかな性格であるだけに、死地にあってみずからを鼓舞しつづけた、その強烈な言葉に圧倒され、また、逆に励まされた思いだった。(Q)

(2011.6.29 民団新聞)
 

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