地方本部 HP 記事検索
特集 | 社会・地域 | 同胞生活 | 本国関係 | スポーツ | 韓国エンタメ | 文化・芸能 | 生活相談Q&A | 本部・支部
Home > ニュース > コラム
読みたいウリ絵本<16>赤いモンペのアナグマさん
文 クォン・ジョンセン 絵 チョン・スンガク 訳 ピョン・キジャ 出版社 平凡社
若者に人気のネンジャンゴパジ。モデルは崔庚珍さん(京畿道河南市)

 春らしくなってきて、花がたくさん咲きはじめましたね。今回紹介する『あなぐまさんちのはなばたけ』は、今の季節にピッタリ。赤いモンペをはいたアナグマおばさんが、花畑をつくるというお話です。

 その前に、少しだけアナグマについてお話ししましょう。日本では別名の「ムジナ」の方がよく知られているのかも知れません。「同じ穴の狢」の、あの「ムジナ」です。ことわざのせいでしょうか、何か悪者のイメージがありますね。

 ヨーロッパでは、餌づけされたりペットとしても飼われたりしている、とてもメジャーな動物です。韓国でも、むかしからアナグマの胆のうが薬として使われてきたこともあり、結構、知られています。どちらかというと、明るいイメージのある生きものですよ。

 アナグマは名前にもあるように穴を掘って暮らしていて、危険がせまると死んだフリもします。彼らの習性はとてもユニークで、物語の主人公にはうってつけです。なので、ヨーロッパではアナグマが主人公の絵本がたくさんあります。

 さて、今回の内容です。 ある日、山の峠の陽だまりでいねむりをしていたアナグマおばさんは、つむじ風によって街まで吹き飛ばされてしまいます。人に見つからないよう急いで帰る途中、ふとのぞいた学校に花畑がありました。アナグマおばさんは、名前も知らないきれいな花にうっとりしてしまいます。

 「わたしも家に、きれいな花を咲かせよーっと!」 山の家に帰ったおばさんは、アナグマおじさんと一緒に花畑をつくろうとするのですが、 「あー、おまえさん!それはナデシコよ。掘っちゃ、ダメ!」

 「アイゴー! それはツリガネニンジンよ。掘っちゃダメ!」

 家の周りは花、花、花。お花が咲いていないところはありません。本当に大切なものは、自分のすぐそばにあることを、そっと気づかせてくれます。

 文は韓国児童文学界の巨星、クォン・ジョンセン先生。絵はチョン・スンガクが描きました。ベストセラー絵本『こいぬのうんち』(第1回で紹介)の、あのコンビの作品で、『こいぬのうんち』がでた翌年の1997年に韓国で発売されました。約20年前の作品ですが、教科書に収録されるなど、今も多くの支持を得ている名作です。

 わたしは、アナグマおばさんがはいている赤色の派手なモンペ(韓国語でモンペパジ)がとても気に入っています。よく見ると、動物の足跡のような模様が入っていて、なかなかおしゃれじゃないですか! モンペが、韓国の田舎のアジュンマたちの定番ファッションということで、画家もアナグマおばさんにはかせたのでしょう。

 ところが、昨今、このモンペが涼しくて機能的なことに着目。若者もはける柄が登場して大流行しているのですよ。名前も、田舎臭い「モンペパジ」ではなく、まるで冷蔵庫(ネンジャンゴ)のなかのように涼しいということで、「ネンジャンゴパジ」という今風の名で呼ばれているのです。この夏、みなさんもネンジャンゴパジをはいてみてはいかが。

(2015.4.29 民団新聞)
 

最も多く読まれているニュース
差別禁止条例制定をめざす…在日...
 在日韓国人法曹フォーラム(李宇海会長)は7日、都内のホテルで第6回定時会員総会を開いた。会員21人の出席で成立。17年度の報告があ...
偏見と蔑視に抗って…高麗博物館...
 韓日交流史をテーマとする高麗博物館(東京・新宿区大久保)で企画展「在日韓国・朝鮮人の戦後」が始まった。厳しい偏見と蔑視に負けず、今...
韓商連統合2年、安定軌道に…新...
金光一氏は名誉会長に 一般社団法人在日韓国商工会議所(金光一会長)の第56期定期総会が13日、都内で開かれた。定数156人全員(委任...
その他のコラムニュース
<訪ねてみたい韓国の駅30...
歴史伝える赤レンガ駅舎 赤レンガの駅舎が、行き交う人々を見守っている。 韓国の鉄道の玄関、ソウル駅。1925年に竣工した赤レンガ...
<訪ねてみたい韓国の駅29...
開業100年、世界遺産の玄関 歴史ある古都の玄関には、それにふさわしい風格が備わる。韓国の古都と言えば、新羅の都、慶州だ。その玄...
<訪ねてみたい韓国の駅28...
未来都市のユニークな駅 いかにも未来的な名前のこの駅は、なかなかユニークな存在だ。まず第一に、その立地。ソウルメトロ6号線、空港...

MINDAN All Rights Reserved.