民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
母国の温かさを体感

オリニ・ソウルジャンボリー感想文から



オリエンテーリングで
積極的にソウルの街を見学したオリニたち

本国児童と心で交流
「同じ同胞」に安心感

 在日同胞児童の交流と保護者たちのネットワークづくりを目的として8月18日から4泊5日の日程で行われたオリニ・ソウルジャンボリーでオリニたちは、母国との繋がりを肌で感じ取ったようだ。今年のジャンボリーに参加した240余人のオリニたちの感想文から心の動きを追ってみた。


芽生えた韓国人の自覚

 親元から離れ、初めて訪韓するオリニにとって、当初は緊張したに違いない。出発前、多くのオリニたちは「友だちができるか」という不安を持っていたことが感想文に書き記されていた。

 韓国に到着後、まだ場の雰囲気に馴染めないオリニたちを驚かせたのが、ウェルカムパーティーで行われた現地の小学生によるテコンドーの妙技だった。

 日本で韓国の伝統的武道に触れる機会が少ないオリニにとって、同世代の小学生が演じるテコンドーはどう映ったのだろうか。板割りではあちこちから歓声と拍手が起こった。

 梁美沙さん(9)は「テコンドーを見た時はびっくりしました。足でジャンプして板を割るとそこからクラッカーが鳴ってすごかったです」。

 2日目に行われたオリエンテーリングは、班別にソウル市内を探訪しながら、要所に置かれたスタンプを押してゴールを目指すものだ。南大門や明洞では、規模の大きさや品物の豊富さに圧倒され目をキョロキョロ。また、店主や通行人から声をかけられたりと、つかの間の交流を楽しんだ。

 骨董街として知られる仁寺洞では、普段見慣れない韓国の伝統工芸品や陶磁器などにも触れた。

オリエンテーリングを通して、仲間意識や協調性が強まったのは確かなようだ。

 宋太鎬君(12)は「初めて見る道路や店の全てが新鮮だった」、兪昌樹君(9)は「オリエンテーリングをきっかけに仲の悪かったオリニと仲良くなれた」と感想を寄せた。

 韓国学校訪問では、本国児童や関係者の温かい出迎えを受けた。言葉は通じなくても本国児童とともに韓国の遊戯や工作などを体験することによって、オリニは母国を今まで以上に身近に感じたのではないだろうか。

 オリニを引率する側のリーダーを務めた河庚希さん(20)は、オリニと本国児童が一緒になって楽しむ場面を目の当たりにし、「理屈や言葉は必要ない。『同じ民族』ということだけで充分だと感じた。子どもたちから学び取ることが多かった」という。

 金大悟君(12)は「言葉はあまり通じなかったけど、行動で表したり、慣れてくると気持ちで通じ合った」、李綾美さん(11)は「工作を作るとき、はさみをかしてもらいたいのに言葉が通じないから泣きそうになりました。でも、ジェスチャーで通じたのでとても嬉しくて、今度は嬉し泣きするところでした」と素直な気持ちを綴っている。

 最終日に行われたキッズ大パーティーでは、オリニたちはおおいに盛り上がり、そして感動した。キャンプファイアーや花火、ディスコ大会…。

 抱えきれないほどの思い出作りをしたオリニたちにとって、この日は友だちやリーダーと一緒に過ごせる最後の日。会場では、別れを惜しんで涙ぐむ場面が至るところで見られた。

 2回目の参加となった金東周君(12)は、「韓国に触れたことによって少し自信がついた」という。李安奈さんが(11)「ジャンボリーに来て、みんなも自分と一緒の立場で日本の学校に行ってると思うとなんだかすごく安心した」と本音をのぞかせている。

 知り合う機会の少ないオリニ同士が出会い、心の交流を深めたことによって得られた韓国人としての自信。当初、リーダーの目にわがままと映ったオリニたちも、最後はいたわりあう気持ちが芽生えるなど、短期間で逞しく成長したようだ。

(2002.10.30 民団新聞)



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