掲載日 : [22-03-16] 照会数 : 6887
尹次期大統領に望む在日同胞の声…今度こそ韓日関係修復を
[ 尹錫悦候補の大統領当選を祝う民団の横断幕(韓国中央会館1階ロビー) ]
[ 14日午前、引き継ぎ委員会会合 ]
韓国最大野党「国民の力」の尹錫悦・前検事総長の次期大統領当選が決まった。長らく韓日間のはざまで苦しんできた在日同胞は「今度こそは」と、韓日関係の修復と進展に大きな期待をかけている。10日未明までもつれ込んだ歴史的な接戦をかたずを飲んで見守った在日同胞に新大統領へ寄せる声を聞いた。
◆祈るような思い
李元徹さん(68、民団大阪本部団長) たとえ、誰が(次期大統領に)なっても、みんなで応援していかなければならない。お互い協力し、韓日を仲良くしてこれからの未来志向に進めてほしいと、祈るような気持ちでずっとテレビを見ていた。今後のことは就任してからになるものの、お互いに協力し、未来志向の関係を構築していってほしい。
◆民団が露払い役
朴茂安さん(67、民団愛知本部団長) 次期大統領は金大中大統領と小渕恵三首相が1998年に交わした「韓日パートナーシップ宣言」を重視するといっていた。そのようにやっていただきたい。国と国の約束を重視するともいっているので今後、日本との関係は進展していくと思う。ただ、この5年間で失ってしまったものも大きい。ここは民団の出番だ。時間はかかっても民団がジョイント役を担い、韓日、日韓友好のイベントをやっていくしかない。
◆対立候補も立派
李純午さん(56、民団宮城本部団長) 在日は韓日関係の懸け橋の役割を果たしている。そのことに賛同してくれる、ないしは同じ思いを持ってくれている候補者が次期大統領になってくれたのはありがたい。韓日関係が改善に向かうのを期待している。結果が僅差だったので最後までもめるのかなと心配だったが、会見で見せた対立候補者の姿勢も立派だった。
◆混乱なく安心感
申大永さん(55、民団東京本部副団長) 選挙戦は好感度が上がらず、世論も大きく二分されていて、もしや選挙後に混乱もと心配をしていました。しかし、国民も候補者も落ち着いた対応で母国の意識水準のレベルに逆に驚かされました。分断国であっても、自由民主主義と資本主義経済及び社会福祉をここまで発展させてきました。この能力を活かし環境問題など持続可能な社会への役割までリードし得るグローバルリーダーになっていただきたい。
◆新大統領と共に
李順載さん(66、民団神奈川本部団長) 第20代大統領選挙、尹錫烈氏の当選にあたり、神奈川県の在日同胞を代表してお祝いを申し上げます。私たち在日同胞は祖国と日本の狭間で、両国の歴史と共に歩んできました。新大統領におかれましては、揺るぎない信頼を前提とした新しい韓日関係を構築し、促進していただきたく思います。同時に私たち在日同胞も祖国発展のため、韓日の友好促進のために、共に尽力していく所存です。
◆在日忘れないで
景民杓さん(75、民団埼玉本部常任顧問) 開票速報を伝えるテレビ報道にくぎ付けになり、夜が明けるまで眠れなかった。次期大統領になった尹さんは国民のために正直な大統領になると宣言なされたので期待している。在日同胞の私たちのことも忘れないでほしいものだ。
◆過去の轍踏まず
陳賢徳さん(66、民団栃木本部団長) 我が祖国は先進文化の宝庫です。高麗時代の金属活版印刷、複式簿記「四介松都治簿法」、朝鮮時代のハングルなどです。しかし、その先進性は、国内の激烈な党争により活かされてきませんでした。壬申・丁酉倭乱や韓国併合は、その悲惨な結果です。過去の轍を踏まず、怒りの呪縛から自らを解放することこそ、新たな統合と繁栄を生み出すと考えます。
◆安保協力進めて
徐鶴奎さん(75、民団山口本部団長) 開票結果は投票翌日の4時30分、スマートフォンで確認した。マスコミ報道で知る限り、韓国が米、日と共同して北に対処するというし、韓国と日本の間でも未来志向の形で協力していきたいという。在日韓国人の一人として期待したい。
◆地方参政権でも
朴弘正さん(66、民団佐賀本部団長) 開票結果は韓国にいる従弟から電話で知らされた。朝4時40ごろのことだったと思う。私もすぐユーチューブで確認した。新大統領にはなによりも韓日関係の回復を望む。在日同胞の地方参政権を含め権益擁護のバックアップにも期待している。
◆韓日友好さらに
姜盛文さん(44、民団徳島本部団長) まずは韓日首脳会談を実現させ、韓日両国民が納得できるような素晴らしい解決策を導き出してほしい。さらに国内の政治的な立場だけではなく、私たちのような在日同胞の立場にも十分に配慮してもらいたい。そして現実的で前向きな姿勢で日本とさらに友好的な関係を築くことを期待しております。
◆在日に新風吹け
劉代永さん(婦人会中中央本部会長) ウリナラと日本との関係が少しでもよくなればと期待している。在日同胞にもなにか新しい風が吹くのではないか、かすかな希望を感じている。
◆専門人士支援を
洪政國さん(74、在日韓国科学技術者協会会長) 未来志向を牽引する専門分野の若者の育成と活躍のため、韓・日間の包括的枠組みつくりを望みます。光復後に母国の建設や奇跡的経済発展に貢献した日本留学生、在日同胞科学者、日本の産業技術の過去に次いで、現在のノーベル科学賞輩出の日本、活躍する在日同胞科学者、奮励努力する留学生は未来志向のフロントランナーです。
◆在日同胞に関心を
宋大揮さん(34、青年会兵庫本部会長) 開票結果は10日、ネットニュースで確認した。韓日関係を良くしていただきたかったので、勝敗の行方には少なからず関心があった。望むべくはわれわれ在日に限らず、広く在外同胞に関心を持っていただき、本国に寄与できる活動の場を与えていただけたらと願っている。
◆関心が高かった開票
崔幸平さん(26、青年会中央本部常任委員) 開票結果には多少なりとも関心はあった。尹候補の当選は10日、夕方のニュースで知った。有力候補2人の在外同胞政策を比べると、それほど差はなかったのかなと思う。戦後最悪とされる韓日関係の改善には期待している。
◆韓日関係では軸をぶらさず
薛幸夫さん(70、民団鳥取本部常任顧問) 韓国社会は民主化を成し遂げて、日本以上に成熟しつつあると認識している。この流れを後退させてはならない。韓日関係では軸をぶらさず、ぶれないで歴史の清算を推し進めていってほしい。もちろん歴史の清算が難しいことはわかっている。まずは大人の立ち位置から対話を再開していってほしいものだ。
◆韓日首脳会談 早期に
朴一さん(大阪市立大学教授)
韓国大統領選挙も終わった。春には尹錫悦新大統領誕生となるようだ。新大統領は、日韓シャトル外交再開とか、懸案である膠着した国家間関係を打開する意欲や発言は散見される。彼は保守系、野党所属であり、旧ハンナラや軍事独裁時代の政権の流れをくむことを見れば、日本との親和性は良いのだろう。
果たして、日韓関係はどうあるべきなのか。もちろん、在日は日本で暮らす以上良好な関係こそ望むものだ。「過去に拘らず、未来志向で仲良くすればお互いに利益はある」。だから、早期に戦後最悪とも言われる日韓関係改善を、とよく聞く話は説得力がある。
しかし、血涙を流し勝ち獲った民主化への道程と現在の韓国と、戦後、時折リベラルで左へと振れはするが、直ぐに本流である保守、ライトウィング国家へと座り直す日本と、「真の合意」は為されるのか! 歴史の清算という、重い課題が眼前にあるからだが。
1985年4月、かつて絶滅収容所があったベルゲン・ベルゼンで、ドイツ連邦共和国首相ヘルムート・コールは「ドイツは歴史の前に、ナチの暴虐が引き起こした被害に対する責任を負っています。この責任はまた、時効なき羞恥のなかで表明される者です。…」と語った。此のドイツの姿勢の下でEUはある。
◆日本を訪問し同胞に激励を
李修京さん(57、東京学芸大学教授)
国際情勢が急変する中、政府の優先課題の一つは、韓国と日本の多様な対話のチャンネルを早急に設けることだ。歴史問題で拗(こじ)れた関係だと言うが、積極的な対話なき解決はあり得ない。幸い日本には強烈な架け橋となる同胞社会がある。新大統領は日本を訪問し、同胞たちを励まし、日本とも前向きに話し合える政策を取ってほしい。
◆在外同胞事業の一元化、強化を
姜誠さん(64、ジャーナリスト) 新大統領に3点、期待を込めて注文したい。①報復政治、「検察共和国」への回帰はせず、国民和合に力を尽くしてほしい、②98年パートナーシップ宣言を固守した日韓関係の改善、③「在外同胞庁」設立公約の実現。96年の在外同胞政策委員会設置以来、くすぶる長年の課題をクリアし、分散しがちな在外同胞保護事業を一元化・強化してほしい。
◆経済優先政策と国民融和を望む
文慶喆さん(61、東北文化学園大学経営法学部教授)
国民を二分する激しい選挙戦の結果、現れた世代や地域対立等の問題を克服し、国民融和を図ること。さらに経済優先政策にも取り組み、国民に幸福をもたらしてほしい。国際社会においては韓国が果たす役割を認識すること。および、懸案の韓日関係改善にも乗り出し、未来志向の友好と協力関係構築に努め、また在日同胞にも温かい目を向けてください。
時と世代が経ち、祖国との繋がりが薄れていくなか、祖国招待事業の拡大や祖国語学習を高いレベルで支援を。また、将来の祖国統一を見据え、総連系同胞にも手を差し伸べていただきたい。
◆国民統合強調に政治の成熟見た
李仁子さん(東北大学教育学研究科・准教授)
大接戦ゆえのしこりが残らないか心配であったが、敗者は自分の至らなさを表明し、勝者は国民の勝利であると宣言し、両者ともに「国民統合」を強調したメッセージを出したところに、政治的成熟を感じた。
感染症や軍事侵攻で世界が揺れる今だからこそ、国際的には平和と安寧を、内政では二分化された国民感情の融和を目指して頑張ってほしい。
◆国民と呼吸し苦痛を慰めて
洪來輪さん(68、一般社団法人2・8会会長)
国民と共に呼吸を合わせ、国民の苦痛を心から慰めてくれる大統領になることを願います。前政権で冷え込んだ韓日関係は「国交正常化以来最悪」と言われています。今の韓日関係を改善し、歪んだ在日韓国人の肩を伸ばせてください。
なお、北朝鮮の相次ぐ挑発に賢明に対処し、この半世紀の間、流した血と汗を通じて先進国入りを果たした大韓民国を子孫に受け継ぐ誇らしい国家を作ってください。