「コロナ禍」脱出へ全力支援 会員組合と近畿産業が総代会
韓信協(在日韓国人信用組合協会・呉龍夫会長)の会員4組合と近畿産業信用組合の総代会が6月中に開催された。韓信協がまとめた会員4組合の2019年度業績によると、4組合の総預金高は昨年比973億300万円増の1兆369億3700万円と1兆円を突破した。貸出金は630億9300万円増の7960億8800万円となった。近畿産業信用組合の業績とあわせると総預金は2兆3890億4100万円、貸出金は1兆7385億1600万円となる。韓信協4組合の預貸率の平均は1・24ポイント減の76・77%。純利益合計は14億9700万円増の53億800万円だった。
「近畿産業」も堅調
◆横浜幸銀
横浜幸銀信用組合(呉龍夫理事長。本店・横浜市、第4期)は29日、横浜市内のホテルで開催。
広範囲地域で収益基盤を拡大。「新本店オープン記念」「ファースト」「ベストパートナー」「子育て支援」に加え、「相続定期」「つばさ定期」など、各種キャンペーン定期預金商品の好評によって、預金は前期比712億8700万円増の5032億3500万円となった。貸出金も「不動産購入ローン」や中小規模事業者への積極的な融資拡大で331億2800万円増の3727億4800万円とした。預貸率は4・56%減の74・07%。自己資本比率は微増の9・19%とし、昨年に続き国内基準(4%)を大きく上回った。融資推進が奏功し純利益も前期比11億2600万円増の36億1900万円と増加した。配当率は前期と同じ1%。
特に3月から始めている新型コロナウイルス緊急対応ローンを9月まで展開する。呉理事長は「地域経済の担い手として資金需要にスピーディーに対応するとともに、経営規模の拡大と安定した経営基盤を構築していく。また、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けている顧客のニーズを踏まえた支援を実施していく」と語った。
◆あすか
あすか信用組合(金哲也理事長。本店・東京都、第54期)は26日、東京都内のホテルで開催。
預金残高は特別金利定期預金の「あおば」「あすか」や、60歳以上限定の「シルバー定期」、「プラチナ定期」が引き続き人気を呼び、前期比136億5000万円増の2771億4700万円に。
貸出金はインターネット広告の推進強化を継続し、不動産担保ローンなどを積極販売したことによって、241億6800万円増の2356億7400万円となった。預貸率は4・77%増の85・04%、自己資本比率は8・53%とした。
純利益は貸出金残高の好調な増加と役務取引収益の増加で、前期より5億800万円増の13億7000万円となった。「あすか」として最高益を更新。出資配当は前期と同じ2%。
金理事長は「広域店舗網を活用した持続可能なビジネスモデルの確立を軸に新たな中期経営計画を作成した。引き続き、事業収益基盤拡充、持続的成長への経営体制強化、働き方改革による生産性向上の実現を基本戦略ととらえ、コロナ禍支援など地域社会への貢献に努める」と述べた。
◆愛知商銀
信用組合愛知商銀(大原清二理事長。本店・名古屋市、第67期)は25日、名古屋市内のホテルで開催。
基本理念である「地域密着型金融」に注力するとともに、地域情報を活用した事業再生、創業・新事業への積極支援や事業性評価融資など、質の高い金融仲介機能の実現を継続してめざした。
「65周年&新本店記念定期預金」の好調な売れ行きで堅調さを見せ、預金は前期比98億6900万円増の1051億6300万円となった。
貸出金は「目利き力を生かした事業性評価融資」を組合一丸となって取り組んだことで、35億3000万円増の726億4200万円となった。預貸率は3・45%減の69・08%。自己資本比率は7・84%。
生産性向上策の実施で、純利益は1億1700万円減の1億6000万円で配当は1%。
大原理事長は「昨年、新本店ビルの新築移転し創立65周年を迎えた。さらなる飛躍をめざし ①法令遵守 ②取引先拡大 ③人材育成 ④安定収益確保 ⑤不良債権管理 ⑥事務ミス撲滅 ⑦業務効率化を経営の柱に実効性高い取り組みを続ける」と語った。
◆広島商銀
信用組合広島商銀(井上一成理事長。本店・広島市、第59期)は26日、広島市内のホテルで開催。
昨年策定した「第6次中期経営計画」の重点施策である「経営健全性向上」「顧客本位の経営体制充実」「組織改革」をモットーに業績が預金・貸出ともに目標を達成した。預金は「大輪」「メンバーズ」「懸賞付きミリオンドリーム」などのキャンペーンで前期比24億9700万円増の1513億9200万円。
貸出金は需要の高い、「不動産事業」「太陽光事業」「旅館業」への融資推進で、前期比22億6700万円増の1150億2400万円とした。
自己資本比率は0・26%アップの7・66%、預貸率は0・25%増の75・98%。純利益は個別貸倒引当金を4億5000万円積み増したことで、前期比2000万円減の1億5900万円で配当率は1%のまま。
井上理事長は「地域金融機関の収益環境が悪化している中でも、『相互扶助』の経営理念の精神を徹底し、金融仲介機能の発揮が必要。中長期的な取組により持続可能なビジネスモデルを確立していく。コロナ禍によって正常回復には相当な期間を要することが予測されており、顧客への相談業務や円滑な支援を最優先に取り組む」と述べた。
◆近畿産業
近畿産業信用組合(大本崇博理事長。本店・大阪市、第67期)は22日、本店ビル「きんさんホール」で開催。
昨年5月に新築移転オープンした新本店という新たなシンボルを掲げながら、堅調な業績を残した。組合員数は新本店効果も相まって前年比3・1に相当する6309人増加の19万9376人となった。
昨年の「新本店オープン記念定期預金」に合わせ、今年1月から発売した「新本店オープン記念定期預金2」が好調な売れ行きを見せた。
預金は前期比91億円増の1兆3521億円400万円となった。貸出金は400億円増の9424億円とした。純利益は新本店移転に伴う経費増もあり、前期比6億4780万円減の89億8000万円円となった。
預貸率は2・51%上がって69・70%に。自己資本比率は前期比0・27%向上し、過去最高の11・01%を記録した。
大本理事長は「100年先の未来への布石となる重要な年度という位置づけを組合員とともに確立させ、より安定した経営基盤の充実が図れた。今年度は、これまで培ってきた収益力の基盤と強固な内部管理態勢を一層発展させていきたい。さらに、コロナ禍で事業や経営に影響を受けている皆さんに必要な支援と各種金融サービスを提供していく」と表明した。