掲載日 : [20-05-27] 照会数 : 5560
婚姻届=韓日どちらの役所でも
Q
私は在日韓国人の女性です。このたび交際中の在日韓国人の男性と結婚します。婚姻届は日本と韓国のどちらの役所に提出するのでしょうか?
また、日本の役所に提出した場合、韓国の役所への届出は必要ですか?
A
◆婚姻の要件
在日韓国人同士の婚姻の要件は韓国の民法に従います。その要件は、①婚姻の意思②婚姻年齢(男女問わず18歳)③未成年者である場合は父母の同意④近親婚の制限⑤重婚の禁止です。
日本民法と異なる点は、女性の婚姻年齢が18歳以上となっていること、近親婚の制限が広範囲で、再婚禁止期間の定めがない点です。
◆婚姻届の提出先
婚姻届は日本の役所、韓国の役所どちらに届け出ても婚姻は成立します。
韓国の役所へ届出をする場合は、婚姻申請書に当事者双方と成年の証人2人が連署して、①登録基準地の韓国の役所に直接又は郵送で届出る方法と②駐日韓国総領事館に提出して届出る方法がありますが、在日韓国人の場合、最寄りの日本の役所に届け出をする方が多いと思います。
日本の役所への届出は、日本の婚姻届のほか、韓国総領事館発行の①基本証明書②家族関係証明書③婚姻関係証明書を日本語翻訳文と合わせて提出します。
韓国の家族関係登録簿を作成していないなど、これらの書面を準備出来ない場合は、役所に備えている申述書を提出します。
◆日本の役所への婚姻届と韓国の家族関係登録簿との関係
韓国では、戸籍制度を廃止し2008年から家族関係登録制度となりました。
家族関係登録制度は目的ごとに①家族関係証明書②基本証明書③婚姻関係証明書④養子縁組関係証明書⑤親養子(特別養子)縁組関係証明書の5種類の証明書が発給されます。
日本の役所に婚姻届を提出すれば、日本でも韓国でも婚姻は成立しますが、韓国の家族関係登録簿の各証明書には婚姻関係が反映されません。
そのため、3カ月以内に韓国総領事館に婚姻を報告的に申請するよう定められています(3カ月経過後でも申告は可能)。
その手続きは、本人と配偶者の双方の身分証明書(特別永住者証明書、在留カード、またはパスポート)と印鑑を持参し、総領事館にある婚姻申告書、日本の役所発行の婚姻届受理証明書と日本語翻訳文、双方の家族関係証明書と婚姻関係証明書を提出します。
なお、各地の総領事館、役所ごとに必要書類等の扱いが異なる場合もありますので、事前に総領事館や役所、弁護士にご確認下さい。
◆まとめ
韓国の家族関係登録簿を創設・整理されていない方もいると思いますが、将来、パスポート発給の際にも必要でもあり、子の出生も、日本の役所への出生届けだけでは家族関係登録簿には反映されません。婚姻の報告的な申請を機会に、家族関係登録簿の創設・整理をしておくことをお勧めします。