掲載日 : [2019-03-06] 照会数 : 6962
国籍要件撤廃へ 前橋でも市交渉…公務員一般職開放求め
市民団体 「まだスタート地点」
【群馬】県都・前橋市で市民団体「自治体職員採用の国籍要件を考える会」が発足し、国籍要件の撤廃へ向けて市職員課と話し合いを始めた。同市は現業職の門戸を開いているが、一般職については毎年、職員採用受験資格に「日本国籍を有する者」と定めている。「考える会」の事務局を担う石田正人さんは「簡単ではないが、粘り強く話し合っていきたい」と長期戦の構えだ。
群馬県は全国的に見ても代表的な保守王国。それでも、県都から攻めるのは県内の他自治体への波及効果が大きいからだ。「考える会」事務局の石田さんは「まだ前橋市職員課との話し合いは、市の担当者が問題の所在を初めて知ったという段階なので、スタート地点に立ったばかり」だと話す。
話し合いは昨年1月26日から始まった。市の職員課長は「このような要望が出されたのは初めて」とびっくりしたようだ。5月の第2回懇談では新任の職員課長が「前橋と同規模の中核市の状況を知りたい」と誠意の感じられる対応を示し、石田さんを勇気づけた。
10月には第3回があり、職務内容に踏み込んでなにが「公権力の行使」にあたるのかについて突っ込んだやり取りが交わされたという。同会は「試験という入り口で差別するのではなく、公権力の行使に該当する管理職登用の一部にだけ条件を付けるとしたらどうか」と初めて具体的な提案を行った。第4回は今年度内に行われる見通し。
石田さんが自治体職員の国籍要件撤廃運動に取り組むようになったのは、尼崎市に一般技術職員として採用された黄光男さんとの出会いがある。黄さんは建築物の検査をするための立入検査証を所持しており、建物の使用禁止を命じる「公権力」を持っていた。石田さんは「国は公権力を行使するのに『日本国籍が必要なのは当然』と言っていますが、すべての公務員は法律・条例に基づいて職務を行うのが当然であり、国籍が問題なのではありません」と強調した。
石田さんは市と粘り強く話し合い、集会やイべントで広く市民に訴えていきたいと話す。会の主要メンバーは石田さんを含め5人。現在、1口1000円を負担してくれる賛同人を集めている。ゆうちょ銀行からは記号10450 番号34663881「自治体職員採用の国籍要件を考える会」。
連絡先は石田正人さん(080・5650・9861)
(2019.03.06 民団新聞)