「多文化共生をめざす川崎歴史ミュージアム」(以下、ミュージアム)設立に向けた運動が進められている。2月21日には3回目の中間報告集会となる「ジャンプアップ集会~差別のない共に生きる社会をめざして~」が開催された。
「多文化共生をめざす川崎歴史ミュージアム」をつくる市民活動は、23年春に川崎市内で始まった。発案者は在日2世の宋富子さんで、現在、設立委員会の代表を務めている。ミュージアムの建物はまだ無く、展示物も制作中の段階だ。
集会で宋さんは「多様なルーツをもつ人たちが気楽に集まり語り合う場にしたい。この3年間で会員・寄付者は合わせて約500人、会費・カンパは800万円超が集まった。さらに多くの人に協力してほしい」と訴えた。
基調講演を行った三浦知人・社会福祉法人青丘理事長は「国籍条項で在日を排除する差別に抗してきた歴史が川崎にはある。多文化・多様性のある社会を切り開くために、その歴史を伝えていくことが必要だ」と強調した。
会場には3つのテーマ(民族教育/日立就職差別裁判闘争/高校生たちの活動)のパネルが約100枚展示され、来場者は熱心に見入っていた。
同会事務局の橋本みゆきさんは、ミュージアムの参考にできる手がかりを求めて先日、韓国の複数の博物館を訪ねた。橋本さんは「植民地歴史博物館(ソウル市龍山区)では、日本語版ガイドブックの助けを借りて展示を観た。
同行した韓国の友人は、『親類には植民地時代の親日派もいれば、軍属として東南アジアに動員された人もいる』と展示に触発されたように話し始めた。展示を前に新たな語りを引き出す場、これこそ博物館と感じた」と述べた。さらに「在日韓国人記念館(ソウル市中区)は、在日コリアンの存在やその貢献を韓国の人に知らせたいという、在日一世の創立者・李熙建氏の思いが展示から伝わった。ただ、韓国で取り上げにくい在日コリアン史があることを知ったので、逆にだからこそ知らせてほしいとの思いを巡らせた」と話した。
最後に「韓国移民史博物館(仁川市)は主な居住国で区切った展示室で、世界中に離散したコリアンの存在を伝えていた。興味深かったのが、どの国も同じ広さでまとめてあること、つまり人口規模や経済力で差をつけるのではなく、同等に描かれていることだった。韓国本国からみた在外同胞表現の一つであり、一種の多文化(コリアンも多様!)が表されていた。
コリアンの中の多様性と葛藤。伝えたい事実と書きにくい歴史。多文化共生という現代的課題に答えることをめざすなら、過去を記録するだけではなく、現在のどんな問題に対して、どんな具体的目標を設定するか、自問が必要とこれらの博物館を訪問して感じた」と締めくくった。