掲載日 : [20-02-20] 照会数 : 9031
在日無年金問題解決求め厚労省と話し合い

[ 厚労省職員と話し合う当事者と支援団体(左側) ]
「年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会」(李幸宏代表)をはじめとする関係5団体は14日、衆議院第2議員会館で厚生労働省の担当者と話し合い、在日無年金問題の解決を求めた。 争点の一つは2005年度施行の「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」。附則2条で在日無年金障害者についても福祉的措置を検討するとしていた。市民団体が「この15年間なにをどのように検討してきたのか」と具体的な説明を求めたのに対し、厚労省側は「引き続き検討していく」と答えるにとどまった。会場からは「いつまで検討しているんだ」という怒りの声があがった。
このほか、年金受給者のみを対象とした「年金生活者支援給付金」などについてもただしたが、在日無年金者に寄り添うという姿勢は最後まで見られなかった。
この日の話し合いに参加した在日の無年金当事者からは苦しい生活実態が語られた。視覚障害を持つ愼英弘さんは大学院生当時、育英会からの奨学金だけが頼り。「授業料と図書館に通う定期代、家賃引いたら毎月の生活費は8000円だけだった」という。全国連絡会の李代表は「ほかの人間は給与にプラスして年金がもらえるのに自分だけがカツカツの状態。格差がどうやっても埋まらない」と訴えた。
救済措置なく無年金放置
在日無年金問題は82年の難民条約批准まで国民年金保険に国籍条項があったことに起因している。国籍条項は条約批准後に撤廃されたが、その当時20歳以上の外国人障害者には障害基礎年金を支給せず、救済措置を取らなかった。同じくその時点で35歳を超えていた者は25年の年金加入資格期間(17年8月から10年に短縮)を満たすことができなかった。その後、86年の年金制度改革で「カラ期間』の制度が設けられたがその時点で60歳を超えるものについてはこの「カラ期間」も認められなかった。高齢者では1926年4月1日以前の出生者のほとんどが無年金者とみられている。