「植民地主義2025ミュージアムで考える 『わたしたち』の応答可能性」が、東京・新宿の高麗博物館で開かれている。同企画展では人生の物語や人の移動、ことばと教育、Kカルチャーなどさまざまな入口から、現在を生きる「わたし」と植民地主義の歴史とのつながりを見つめる。
同展は韓日国交正常化から60年を迎えた25年10月、「植民地主義」について考えたいとの高麗博物館からの呼びかけに応えた大学生など若い世代が、高麗博物館ボランティアスタッフなどのシニア世代とともに、5つのチームに分かれて企画した。
「1910年以前のソウルチーム」は、『京城発達史』(編集・発行:京城居留民団役所、1912年)という、日本人が最初にソウルに入ってから韓国併合までの過程を記した本をもとに、①1910年以前のソウル②後期義兵闘争、などをパネル化し、日本軍の弾圧から義兵らの独立をかけた闘いをわかりやすく展示した。
「マルモイチーム」は、植民地支配の中で、日本語教育や創氏改名が強要された歴史と、解放後にそれらを取り戻してきた歩みをたどり、「ことばとともに生きる」ことの意味を見つめ直す。
韓国の著名な詩人・文炳蘭が、子ども時代に厳しい日本語教育を受けた苦い思い出を描いた詩「植民地の国語の時間」や、植民地支配下で母語を奪われ、家父長制の中で読み書きを学ぶ機会が無かった神奈川県川崎市在住の在日同胞のハルモニ(おばあさん)たちが、識字学級で日本語を学んだ経験をつづったカルタなども展示されている。
「親日派」では、親日派問題研究の先駆者・林鍾国の著書をもとに、植民地期に国と民族を裏切った人を指す親日派とは何なのか。親日派の誕生と形成の背景、そして歴史清算の意味するものについて考える。
「ライフヒストリー」では、映画『金子文子 何がわたしをこうさせたか』が公開中の無政府主義者・金子文子の半生を通して、韓国独立運動に衝撃を受けて自由のために闘うことを決意した彼女のひたむきな生き方を知る。
「民族とジェンダーの壁を超え―朴敬元が翔(か)けた空―」では、植民地時代に韓国初の民間女性飛行士になった朴敬元の生き方を通して、民族差別と性差別を乗り越えて夢を追った彼女の生き方を考える。
「現代社会とカルチャーチーム」は、ドラマ『冬のソナタ』の大ブームからK―POPのヒット、そしてコロナ禍での『愛の不時着』など動画配信の大ヒットを経て、最近ではコスメや韓国料理が日常化した韓国ブームを追う。
同館の谷正人理事(70)は、「今回の展示は大学生・院生ら若者たちとの共同企画で、若者の意見を取り入れてパネルを見やすくしたり、対話カフェを設けるなどの工夫をした。植民地主義が過去の話ではなく、現代社会の閉塞感とも通じていることを知ってほしい」と話す。
ボランティアスタッフの渡辺柚月さん(27)は、「高校生の時に日本の加害の歴史を学んで、いまだに解決されない問題が多くあることに驚いた。会場を訪れた同世代の人たちと対話することがとても大切だと実感した。今後も加害の歴史について考えていきたい」と語った。
*同展は4月12日まで。入館料一般500円ほか。☎03・5272・3510。