掲載日 : [2004-02-25] 照会数 : 2742
<新刊紹介>北朝鮮「楽園」の残骸
「平壌」以外は「田舎」…悲惨な人々の暮らし
ドイツの非政府組織(NGO)「カップ・アナムーア」のスタッフとして、延べ3年半(99年〜2003年5月)にわたり北韓各地の医療施設の改善活動に取り組んだ旧東ドイツ出身青年の見聞録。
著者は、数多くの公共機関を訪れ、さまざまな階層の生活をかいま見ることができた。
「北朝鮮の田舎を見ていない者は本当の北朝鮮を知らない」。「田舎」とは「平壌以外のすべての場所」だ。「平壌」は「田舎」の上に君臨している。掲載された171枚の写真は、「ショックを与える目的で撮ったものではなく、現実の記録そのもの」であるという。
平壌から一歩出た「田舎」の日常、普通の人々の暮らしは悲惨そのもので、「文明以前の時代」との写真説明もあながち誇張ではない。国土の荒廃ぶりと合わせて悲しみを呼び、気を滅入らせる。
これらの写真は、同時に、読者をして、「金日成・金正日神話」の維持と独裁者一族の延命のために、そのような現実をもたらし、いまだに無辜の人々を使い捨て、切り捨てて省みぬ「敬愛する首領」と、彼に追従して「平壌」で優雅に暮らす特権層への強い憤りを、あらためて喚起してやまないだろう。
マイク・ブラツケ著
(草思社、1800円+税)03(3470)6565
(2004.2.25 民団新聞)