掲載日 : [2003-01-01] 照会数 : 7201
「地方参政権」の行方2 地方本部の活動報告(03.01.01)
[ 左から朴英哲事務局長・景民杓事務局長・韓久事務局長
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住民投票・永住外国人無視の自治体、民団の要請で逆転
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朴英哲事務局長
大阪府高石市
地方自治の本旨に反する条例案
1週間かけ排除の不当性を訴え
大阪府高石市が、堺市を視野に市町村合併の是非を問う住民投票条例の内容が、昨年9月12日に報道された。この住民投票で外国人住民が排除されていることから、民団大阪では高石市役所を訪問、池中助役と面談の上「外国籍住民の排除は理解できない」旨を指摘した。最終的には寺田為三市長との話し合いを通じて住民投票資格が認められ、投票することができるようになった。
民団大阪では、この投票が①合理的理由がないにもかかわらず、外国籍住民を排除することは「地方自治の本旨」に反する②法的にもクリアできる問題③住民投票という性格上、幅広く民意を問う所に真意がある―などの点から排除の不当性を訴えた。
寺田市長によると、投票資格については永住外国人に地方参政権を認める法案が国会で継続審議になったことをあげ、今回の堺市との合併を問う投票では「今回は市議、市長の選挙と同じようにした」と話した経緯があった。その後、外国籍住民が住民資格から投票資格に改めたのは、法的合理性や現実に生活者に関わる問題であることを、民団が1週間にわたって市や議会に訴えてきた活動の結果だといえる。
直接的には、同市議会総務文教委員会が9月20日に改めて投票条例を審議し、永住外国人の投票資格を認める修正案を提出したことにある。修正案が委員会で全会一致で採択され、25日に本会議で可決された。
高石市は、民団組織の中では泉大津支部、堺支部、泉北支部にまたがり、同市には519人の外国人登録者が居住している。投票資格者(20歳以上)は約300人。
高石市が民団の申し入れを受け止め、外国籍住民が投票できるようになったことは、府下で初めてであり、民団大阪の活動の成果といえる。
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埼玉県岩槻市
景民杓事務局長
「18歳以上日本国籍」すでに施行
民団代表団、粘り強く説得工作
埼玉県岩槻市では、投票資格者を「年齢満18歳年以上の日本国民」を投票資格者とした住民投票条例を、すでに昨年11月の臨時市議会で採択、同11月18日付で公布施行していた。その公布施行済みの条例を改正してまで永住外国人に住民投票権を認めたのは、いまのところ岩槻市だけ。
要因としては、民団埼玉本部役員をはじめとする6人の代表団が最後まで佐藤市長に対する説得を続けたことが大きいといえる。永住外国人を排除したままの条例を認めてしまえば、同じく合併問題を抱える県内他市町村にも影響を及ぼすのは必至だ。佐藤市長との話し合いを前に代表団に向かって「条例が修正されなければ庁舎前に座り込む」と宣言した。
一方、市としても「住んで安心、共生都市」を掲げてきた佐藤市長の意に反して、条例案を作成した事務方には永住外国人に対する認識が欠けていた節が見られる。あくまで、地域の方向性を決めるのは地域住民であるという地方自治の精神と、外国籍住民も共生者だという論点で条例改正を求めた。このため、佐藤市長としても最後は「(条例案作成にあたって)民団に相談しなかったのは配慮に欠けていた」と非を認めざるをえなかった。
市議会としても95年12月に定住外国人の地方参政権確立に関する意見書を採択しているだけに、住民投票に永住外国人の参加を認めないことは意見書採択の趣旨に背くことだった。地元在住の金昌富本部副団長がこの点を指摘すると、複数の有力議員もあっさりその事実を認めた。
条例改正案は昨年12月2日の市議会冒頭に可決された。民団の代表団が話し合いに訪れてからわずか4日後のこと。岩槻市の市町村合併に関わる住民投票は1月26日に行われる。
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三重県名張市
韓久事務局長
「有権者限定」
素案に即時対応
名張市議会臨時予算委員会で昨年10月30日、全会一致で永住外国人の住民投票資格付与が可決された。しかし、永住外国人について民団の活動がなければ資格付与は難しかったであろう。
9月3日に発表された名張市と6市町村の合併問題住民投票素案では、投票権を有権者に限定したものであった。民団三重では早速、亀山名張市長との面談要請を求めると同時に、住民投票条例に関してイニシアチブを握る会派・委員会など市議会の状況を調べ上げた。
その結果、亀山市長は、わずか3人の市長が過去48年間にわたって市政を担当してきた体制を払拭するとの公約を掲げて02年4月に当選した市長だった。中でも、広く市民の声を市政に反映させるための「パブリックコメント制度」の導入に力を入れてきた。
素案発表から3日後の6日、市長との面談の席で、住民投票条例案に直接タッチしていなかったとする市長から、民団団員がパブリックコメントを出しても問題ないとの確約を得た。9日には民団としての意見と、名張市在住の同胞および日本市民の協力を得て、住民投票権は共生している住民としての権利であるという趣旨のパブリックコメントを提出した。
その結果、10月17日の合併問題調査特別委員会で集成条例が決議され、30日に可決され、外国籍住民も投票に加わることができるようになった。
今回のケースは、開かれた市政を作ろうという亀山市長、市議会と民団の思いが一致した結果でもあるが、市長、市議会の情報を的確に捉えることによって、市長との面談や市議との交渉も非常にスムーズに進めることができた。素案発表から市長に面談するまでの3日間が最も重要な時期だったと思う。早急な活動が条例修正につながったと自負している。
(2003.01.01 民団新聞)