掲載日 : [2003-01-01] 照会数 : 5082
活躍する在日3世 高満津子さん(03.01.01)
活躍する在日3世
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焼物で韓日の架橋に
〞土と火〟の作品広く紹介
岐阜県現代陶芸美術館学芸員
開館スタッフとして参与
高満津子さん
岐阜県といえば、美濃焼に代表される東濃地域の陶磁器で有名な地域。昨年10月12日、5年間の設立準備期間を経て多治見市に岐阜県現代陶芸美術館がオープンした。
開館を記念して開かれたのが「現代陶芸の100年」の第1部「日本陶芸の展開」だ。近現代の個人作家の陶芸作品を国際的な視野で紹介する特別展で、今年1月19日まで開かれている。
明治期の輸出陶芸から純粋な造形表現としての前衛陶芸まで逸品315点が展示された企画展を担当したのが学芸員として勤務する高満津子さん(36)だ。同美術館に勤務する5人の学芸員の1人で、岐阜県職員として初の外国人学芸員として勤務している。
学芸員の仕事は、美術館で開催する展示会の企画を考えたり、収蔵作品の選定作業など美術館の根幹に関わるものだ。時代や流行に応じた様々な企画展は、所蔵の作品だけで完結できる訳ではない。各地の美術館などが所蔵する作品の借用も、学芸員の重要な仕事の一つだ。
絶えず、どの美術館に何が収蔵されているかを蓄積し、そして陶芸の最新の情報にもアンテナを張り巡らすことが、高い評価を受ける企画につながる。
休日を利用して、手弁当で各地の美術館を回ることも珍しくない。自らの感性を頼りに、無から有を生み出していくクリエイティブな仕事だ。
インテリアや生活用品のデザインが好きだった。「自分の器ぐらい作れたら」と軽い気持ちで大阪芸大の陶芸コースに入るも、80年代前半に大きなうねりを見せた大阪アートのニューウェーブの波に巻き込まれた。器としての陶磁器よりも土と火を使う陶芸アートに心奪われていった。
卒業後、姉妹校関係にあり、かつ現代陶芸で先端を走る韓国弘益大の大学院に2年半修学した。
学芸員の資格を取るための実習は、東洋陶磁美術館で受けた。国宝級の陶磁器が数多くある、日本でも超有名な美術館で、通常は実習は受け入れない。大学時代の恩師のおかげだった。
韓日で陶芸を学び、しかもバイリンガル。98年、請われて現代陶芸美術館の設立準備スタッフに就いた。留学時代に築いた人のつながりも大きな戦力になっている。
今、韓国現代陶芸の重鎮のインタビューを続けている。高麗、李朝から現代陶芸に至るまでの〞空白〟を埋めるためだ。韓日の双方を客観的に見られる在日という存在だからこそ、できると確信している。
蓄積した資料を基に、近い将来「韓国陶芸の歴史」展にチャレンジしたいという。
■プロフィール■
1966年大阪・生野区生まれ。大阪芸大工芸学科陶芸コースを卒業。韓国弘益大美術大学大学院で陶芸を学ぶ。東京の韓国大使館で大使秘書などを務めた後、岐阜県現代陶芸美術館の設立準備メンバーに。
(2003.01.01 民団新聞)