
董龍昇 三星経済研究所研究専門委員
未来のビジョン提示
地球温暖化の対策で存在感…危機をチャンスに
李明博大統領が任期最後の海外歴訪に出た。9月8日、ロシアのウラジオストクで開催された「第20回アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議」に出席後、9〜10日にデンマーク自治領グリーンランド、12日までノルウェー、14日までカザフスタンをそれぞれ訪問した。
APEC首脳会議では地域経済動向と食糧安保が議論され、世界的金融危機に対処するための具体的方法論が提示された。
ロシアにガス管事業を再度促す
李大統領は韓露首脳会談で、南・北・露のガス管連結事業に対する意思を改めて表明する一方、ロシアとの戦略的協力パートナー関係の発展を強調した。
ガス管連結事業は就任当初から関心を示し、推進してきたものの、南北関係の停滞などにより進展しなかった。しかしこれは、極東シベリア開発に集中しているロシアと、未来志向的エネルギーの安定的確保という韓国の必要性が出会う接点となっている。
国家元首として建国以来初めて訪問したグリーンランドでは、緑色成長と北極圏開発という観点から注目を引いた。地球温暖化にともなうグリーンランドの危機要因をチャンスに変えるため、韓・グリーンランド間の資源開発協力を強化した点は大きな成果だ。
地球温暖化問題はすでにかなりの部分で進行しており、全世界の人類に脅威を与えてから久しい。このような脅威に対処するため人類は多くの努力を傾けてきたが、危機をチャンスに活用するとのメッセージを、グリーンランド訪問を通じて具体化したものと見ることができる。
ノルウェー訪問に際して李大統領は、オスロ大学で「コリアルートの新地平」をテーマに特別講演を行った。ノルウェーの6・25参戦に対する謝意を伝える一方、100年近く平和を維持してきた、いわゆる「ノルディック・ピース」現象に触れ、東北アジアの平和と繁栄に対する示唆と教訓になりうることを強調した。また、この連結の輪が気候変化に対する共同運命体であり、韓国とノルウェーがその架け橋の役割を果たすべき点を浮き彫りにした。
この内容は、援助を受けた国から援助する国に発展した韓国が国際社会に投げかけた話題として充分だった。さらに、地球の北側に位置する、名実ともに先進国に多くの示唆を与えたに違いない。
また、ノルウェーの北極政策を世代を超えた長期的視点から評価し、韓国との積極的な協力の必要性に言及した点は、韓国の未来ビジョンをグローバル政策の観点から展開したものといえる。
地下資源開発の推進へ基盤築く
帰途に訪れたカザフスタンとは、修交20年を迎え、両国間のさまざまな産業分野の実質協力を増進させるための基盤を築いたと評価できる。カザフスタンは大量の地下資源をもとに経済発展を実現している国だけに、韓国の経済発展に大きな関心と期待を寄せており、われわれにとっても多くのチャンスが広がっている地である。
これら成果とあわせて、任期最後の歴訪にもかかわらず、われわれには多少不慣れな地球北半部の国々を選んだ点は注目されよう。世界的課題に対するわれわれの地球規模の参加意志とあわせて、大韓民国の将来に向けた方向性を含んでいる点を読み取れるからだ。
それだけ大韓民国の国力が国際的水準に到達したことを今一度思い起こさせる。大韓民国はいまや国内的課題だけにとどまる、東北アジアの小さな国ではなく、気候変化に積極的に対処し、世界平和と繁栄に対するビジョンを共有、提示する国として跳躍していることを内外に鮮明にしたものといえる。
このように李明博大統領の最後の歴訪外交は大韓民国の未来ビジョンを提示すると同時に、その門を開く契機をつくったと見ることができる。韓国の緑色成長努力を世界に示す一方、任期中最も積極的に推進したFTA(自由貿易協定)の必要性を、世界金融危機に対処するための方案として提示した点などは、国の指導者として高い識見を示したといえよう。
(2012.10.3 民団新聞)