
個人請求権 両政府の解釈変遷も検証
「緊急日韓関係診断‐現状適合的な処方箋を探る」を主題とした「第6回日韓社会文化シンポジウム」が22日、東京の明治大学で韓国学術研究院と韓国人研究者フォーラムの主催により開かれた。
第1部(主題発表)では若宮啓文・前朝日新聞主筆(日本国際交流センター・シニアフェロー)による基調講演「日韓条約50周年をどう迎えるか‐危機の日韓関係、打開のカギは」に続き、三谷博・東京大学大学院教授が「歴史の教訓? 日中韓関係を考えるために」、文京洙・立命館大学教授が「グローバル化の下での日韓関係と市民社会の課題」、在日コリアン弁護士協会所属の殷勇基・金哲敏両弁護士が「韓国司法の賠償命令の法的評価=個人請求権の有無の観点から」と題して報告した。
第2部の総合討論「解法はあるのか?」では韓国人研究者フォーラム代表の柳赫秀・横浜国大大学院教授の司会で三谷教授、文教授に徐正根・山梨県立大学教授、小倉紀蔵・京都大学大学院教授、李元徳・(韓国)国民大学教授(日本学研究所長)、箱田哲也・朝日新聞論説委員がパネリストとして、現在の韓日関係の行き詰まりを打開するためには、冷静な現状診断に加えて、何をどうすればいいのか、現状適合的な処方箋が不可欠との観点から論議を深めた。
若宮前主筆は基調講演で「懸案のパッケージ処理」として1,慰安婦問題に決着(政府間で責任もち妥協)2,徴用労働者にはドイツの基金方式を3,竹島・独島は互いに自制4,戦略的な「新パートナーシップ宣言」を出す5,新たな合意は「国際公約」とすることを提案した。
李教授も1,慰安婦問題は外交的妥結方式が最も現実的2,2005年の韓国の民官合同委員会での最終的な結論は、慰安婦問題・サハリン韓国人問題・韓国人原爆被爆者問題の3件を除けば1965年の請求権協定で決着済みとみなすということであり、韓国政府はこのラインを守るのが筋と考えられる3,大法院の判決(憲法精神)を尊重しながらも政府の既存の姿勢(05年)を堅持し、両立させることが対日政策の知恵だ4,慰安婦問題は日本側の責任下で、徴用工問題は韓国側の責任下で解決の糸口を開くことが望ましいなどと提言。韓日関係の改善に向けて相手の政治文化に対する理解の増進と現実的・実利的歩みよりの必要性を強調した。
殷・金両弁護士は、韓日両国の韓日請求権協定解釈の変遷について詳しく紹介。殷弁護士は「日本政府の見解でも、『慰安婦』被害者の個人請求権は残っている」と主張。1,日本政府・日本最高裁の現在の公式見解は、「『慰安婦』被害者などの個人請求権は残っている。ただし、その権利は裁判では使えなくなった」というもの2,それによるなら、日本政府は「慰安婦」被害者に法的責任に基づいて金員を(自主的、という形で)支払うことができる3,外務省を含め日本政府は、以上の事実を意図的にミスリードしている。日韓のマスコミの多くは1,・2,の事実を知らないように見えると指摘した。金弁護士は「韓国大法院判決の経緯とロジック」について丁寧に説明、一方の国・国民に対する先入観やステレオタイプ的思考によっては解ける問題も解けなくなる、と注意を喚起した。
なお、李丙駐日大使はシンポジウムへのメッセージ(代読)で「韓日の過去の歴史が両国の未来への進展に足かせになってはならないが、また不幸な歴史が繰り返されないように歴史を直視する姿勢を堅持することも重要」とし、二つの時代的要請に対するバランスの取れた取り組みへの期待を表明した。
(2013.11.27 民団新聞)