掲載日 : [2008-07-30] 照会数 : 3880
<読書>国家情報戦略 正しい情報が安保の源
韓日の国家情報に従事する専門家(インテリジェンス・オフィサー)だった本書の著者2人は、それぞれスパイ行為、背任行為で逮捕され、職場を追われた共通体験をもつ。かつての情報プロが北韓の核や安保問題などについて、腹を割って語りあった内容だけに興味深い。
例えば、韓国と軍事同盟関係にある米国は、偵察衛星の映像情報や通信傍受(盗聴)情報など、トップ・シークレット(軍事一級機密)を毎日韓国軍に提供している。この情報の共有で功を奏したのが、著者が国防省に勤務していた時代に起きた西海上での北韓工作船との交戦である。工作船を撃沈したと判断した韓国海軍は、記者会見まで準備していたが、米国からもたらされた衛星写真には、北方警戒線を超えて北へ逃走する船が写っていたという。
これら精度の高い情報を元に、韓米連合軍司令部は対北警戒態勢レベルを決めている。北韓が在韓米軍を目の敵にし、声高に撤退を叫ぶ理由がここにある。駐韓米軍がいる限り、北韓の軍事行動は丸裸同然だからだ。
また、北韓は日帝時代の陸軍中野学校の教科書でスパイ工作活動や偽札戦略を学んだという指摘に対し、北の現在の諸悪の根源が、かつての日本にあったという思いにかられ、歴史の皮肉を思わざるを得なかった。
(佐藤優・高永著、講談社+α新書800円+税)
℡03(5395)3529
(2008.7.30 民団新聞)