掲載日 : [2008-10-08] 照会数 : 3919
<読書>横浜の関東大震災 大虐殺招いた流言と狂気
1923年9月1日に発生した関東大震災は、東京、神奈川、千葉など広い地域で、死者・行方不明者10万人を超える大惨事となった。震災直後に「朝鮮人が放火した」「井戸に毒を入れた」、さらには集団で来襲するという流言が各地で急激に広がった。
これを信じ込んだ軍隊・警察や各地につくられた自警団などは朝鮮人に対する迫害と虐殺に走り、数千人におよぶ朝鮮人が公然と殺された。
8章からなる本書は、第1章で東京との比較を含めて横浜における関東大震災を概観し、第6章で、一週間ほども荒れ狂った横浜での流言と虐殺ならびにその原因に言及している。
横浜は流言の発生地の一つだった。下町を中心に火災が広がり多数の死者を出した東京に比べ、地震の被害が大きくほとんど全市街が破壊された。なかなか救援の手がおよばず、数日間も孤立する中で、略奪が横行し、朝鮮人暴動のデマが広がり、自警団による殺傷事件が頻発するなど、深刻な混乱を招いた。
当時、政府は朝鮮人暴動の流言を戒厳令施行に利用した。戒厳令の布告は、警官や民衆の危機感を煽り立て、公然たる虐殺に道を開いた。しかも、虐殺は当局の手で隠蔽され、事件の全貌は、今日もなお明らかにされていない。政府による謝罪と真相究明が求められる所以である。
(今井清一著、有隣堂2300円+税)
℡045(825)5563
(2008.10.8 民団新聞)