掲載日 : [2008-12-11] 照会数 : 4603
<読書>キムチ物語 在日のオモニ根性を見る
日本の漬物と誤解されるほど市民権を得たキムチ。にんにく臭いと敬遠された朝鮮漬けの時代を知る人にとっては、まさに隔世の感を覚えることだろう。2歳で日本に渡ってきたオモニが、京都でキムチを漬けて売ることを生業に、がむしゃらに生きて来た45年の歳月を綴った。
子持ちの在日女性ができる仕事などほとんどなかった50年代。キムチを漬けて売ることなら、一人でも今日からでも始められるとばかり、漬けては見ず知らずのよろず屋に飛び込む行商を始めた。好意的に置かせてくれる店がある一方、けんもほろろに断られることもあった。
突撃セールスが功を奏して、京漬物の大手メーカーからも声がかかるようになった。少しずつ商売は軌道に乗り始めたが、次に問題になったのは金策だった。在日同胞に融資する銀行は当時もなかった。急場を救ったのが、同胞オモニたちによる頼母子講、いわば「手づくりの銀行」である。
今は頼母子講の話を聞くことが少なくなったが、同胞同士の絆を温めあうことの大事さを忘れてほしくないと著者は強調する。
強力なライバル社の出現で一時期は商売を放棄しようと悩んだこともあったが、キムチにかける情熱が思いとどまらせた。4人の子育てはキムチづくりが支えたのである。
(李連順著、光村推古書院1200円+税)
℡075(493)8244
(2008.12.10 民団新聞)