掲載日 : [2009-01-28] 照会数 : 3984
<読書>キムはなぜ裁かれたのか 被害と加害の歴史を問う
副題は「朝鮮人BC級戦犯の軌跡」。日本の軍属として太平洋戦争に巻き込まれた同胞戦犯の戦中と戦後を問うルポである。
戦犯148人のうち、129人が捕虜収容所の監視員だった。捕虜取り扱いの国際条約も教えられず、捕虜は人間以下との価値観を植え付けられた彼らは、捕虜を虐待したとの罪で23人が死刑に処された。上官の命令に従ったばかりに、尊い若い命を犠牲にすることになった彼らの無念は、日本人ではないという理由で、補償の対象から除外されている遺族の恨(ハン)と重なっている。
死刑は免れたものの、シンガポールと巣鴨の刑務所に服役した金完根氏は、望郷の思いをつのらせるも、仮出所の身のため帰国できず、外国人登録をして日本に住む羽目になった。日本の戦争に協力した「親日派戦犯」と指弾されたことも、故郷に戻って暮らすことを不可能にした。
金氏が軍属になったのは、独裁者として君臨し、村人から恐れられていた日本人巡査が、「志願」しなければ配給を止めると恫喝したからであった。炭鉱での苦役を避けた者もいれば、徴兵制で兵隊にとられるよりはましだと応募した者もいた。故郷を後にした3016人には、それぞれの動機があった。対日協力者のレッテル張りで、闇に葬っていいはずはない。
(内海愛子著、朝日選書1500円+税)
℡03(5541)8832
(2009.1.28 民団新聞)