掲載日 : [2009-05-27] 照会数 : 4031
<読書>空と風と星の詩人 尹東柱評伝 民族詩人の肖像を鮮明に
「いのち尽きる日まで天を仰ぎ/一点の恥じることもなきを、/木の葉をふるわす風にも」心をいためた詩人。
同志社大学英文科学生として夏期休暇を利用しての北間島・龍井(現在中国吉林省)への帰郷準備中の1943年7月、「朝鮮独立運動」嫌疑の思想犯として京都で特高刑事に逮捕された。その後、福岡刑務所に収監されてからわずか1年にもならぬ45年2月に獄死した。日本敗戦=祖国解放の半年前のことであった。
あまりにもあっけない死には、当時九州帝大で実施されていた「生体実験」によるものとの推定もなされてきた。死因は、今もまだはっきり解明されていない。
母国の言葉で語りハングルで書くこと自体が危険視された時代に、27歳の若さで獄死した民族詩人。汚れなき澄んだ良心へ訴える強い主題があり、それが柔らかな抒情的表現と独特な韻律をとおして表現された清冽な詩は、多くの人々に敬愛されている。
参照できる詩人自身の言葉が、書かれたものとしてほとんどない中で、詩を深く理解しようとすれば、その生涯の軌跡について、またその時代の状況について知ることが不可欠だ。堅固な作家・歴史家による本書は、生涯の軌跡を丹念にたどり、その文学の純潔な肖像を描き出した作品として、韓国で高い評価を得ている。
(宋友恵著、愛沢革訳、藤原書店、6500円+税)
℡03(5272)0301
(2009.5.27 民団新聞)