掲載日 : [2009-10-28] 照会数 : 3823
<読書>キムチの文化史 「違い」の謎を解き明かす
日本でもすっかり定着したキムチ。だが「赤くもなく辛くもなく臭くもない」キムチがあることをご存知の方は、まだ多くはないだろう。キムチ入門では水キムチの特徴説明から、さらに韓国と日本の漬物を比較する。
どちらも野菜を塩で漬けながら、韓国では漬け汁と野菜の両方を味わう沈菜(ちんさい)タイプが、日本では食べる前に洗ったり汁を絞って野菜だけを食べる醯(かい)タイプの漬物が発達。この違いが生まれた背景の謎を解き明かすために、第2章ではキムチの歴史を紐解いていく。
第3章では、キムチが日本社会に根づいていく過程を、これまで取り上げられなかった資料や知見を織り交ぜながら紹介する。
キムチは戦後に初めて登場したという説が近年、定説になっている。だが本書では、日本人に広く知られるようになったのは1910年以降であり、また戦前期(明治中期から45年)の日本に160の朝鮮料理店が存在したと指摘。さらに、戦後に漬物本に掲載されたキムチの製法から分析し、3系統に分類した「在地系」、「在日系」、「韓国・朝鮮系」キムチの特徴、比較も大変、興味深い内容だ。
韓半島の食文化の研究に20年もの歳月を経てきた著者。これまでの成果の集大成としてまとめた読み応えのある一冊。
(佐々木道雄著、福村出版、6000円+税)
℡03(3813)3981
(2009.10.28 民団新聞)