掲載日 : [2009-10-28] 照会数 : 4101
<読書>金賢姫からの手紙 執拗な「圧迫」に抗して
今年3月、元北韓工作員の金賢姫氏(87年の大韓航空機爆破事件の実行犯)と、金氏に日本語などを教えた日本人拉致被害者・田口八重子さんの家族との面会が釜山で行われた。金氏が「李恩恵」と呼ばれていた八重子さんのことを証言して以来、面会が実現するまで21年かかった。面会は李明博政権が成立したからこそ可能であった。
98年から昨年まで続いた親北政権(金大中政権、盧武鉉政権)のもとで、金氏は信じられないような迫害を受けた。特に01年秋からは、「大韓機事件は韓国の自作自演で金賢姫はニセモノ」とする北韓の謀略宣伝を踏襲した親北・民主化運動団体による「韓国の自作自演の疑いがある」との発表や集会・デモを合図にKBS、MBCなどが「事件はでっち上げ」との方向で一大キャンペーンを開始し「魔女狩り」的雰囲気で金氏を抹殺しようとした。そのことに盧政権の圧力で国家情報院までも手を貸した、と金氏は厳しく批判している。
キャンペーン開始時期は、北韓が日本人拉致を認めることを検討し始めた時期と重なっている。「金賢姫ニセモノ説」は北韓の事前工作であり、北韓が「拉致は認めるけれども大韓機事件は認められない」と強弁しているのは「金正日の責任につながることを避けるため」との著者らの推測には説得力がある。
(西岡力・趙甲済著、草思社1500円+税)
℡03(3576)1002
(2009.10.28 民団新聞)