掲載日 : [2010-01-27] 照会数 : 4169
<読書>ハングルの愉快な迷宮 韓国人の生活感覚を活写
語学留学先のソウルで、韓国人男性と交際することになった在日3世の娘さん。「今、何してる?」「どこにいるの?」「誰と?」といった電話が日に何回もかかってくる。だんだんうっとうしくなり、「私、監視されてるのかしら。彼はやきもち妬きなんだろうか」と感じ始め、いつしか付き合いも遠のいてしまった。
こんな事例は掃いて捨てるほどあるはず。韓国人との間のつまらない誤解、行き違いを避けるうえで、この本は最適の指南書といっていい。
韓国人は安否を問う「問安電話」を特に用がなくともかけまくる。著者のつれあいも無類の電話好きだ。「いちいちうるさいっ、もう電話すんな!」とキレては、不憫に思っている。
著者は韓国語学習歴30年、カメラマンと結婚して韓国の大家族家庭にもまれて18年。韓国人の気質と言葉に正面からぶつかって生まれる葛藤を、ユーモアと愛情を込めて描いた。
韓国人が一番好きな言葉「サラン(愛)」は日本語の「情」に近いという筆者は、濃密な「家族の情」を重た過ぎて不自由だと反発したこともある。しかし今は「一人一人が家族の愛に守られて生きる社会とは、無関心や疎遠が当たり前の社会よりも、はるかに良き社会ではないか」と受けとめている。
(戸田郁子著、講談社+α文庫、743円+税)
℡03・3944・1295
(2010.1.27 民団新聞)