掲載日 : [2010-03-10] 照会数 : 3860
<読書>日韓歴史教科書の軌跡歴史の共通認識を求めて 謙虚な姿勢の大切さ説く
本書のめざすのは韓日両国間の「歴史の共通認識」だ。これまでにも歴史教科書をめぐる問題が起こるたび、それがいかに困難な課題かを思い知らされてきた。なぜ困難ななのか、どうしたら克服できるのか、著者なりの処方箋を提示してくれる。
著者がまず説くのは、「自国中心的なナショナリズム」の克服だ。韓日両国政府が02年に設置した韓日歴史共同研究委員会(第1期)がなんら成果を上げられず、事実上決裂してしまったのも、双方の委員が国家を背負ってしまったからだと指摘している。日本側には「自らを正当化し、相手に自らの認識を認めさせることしか考えていない」と特に批判的だ。
政府肝入りの歴史共同研究の対極にあるのが、著者自ら関わった歴史共通教材作成の試みだ。この動きは90年代から活発化し、いくつかのグループが交流の成果を本にしている。各グループの取り組みを見ていくと、相手国の歴史を尊重し、そのうえで徹底的な討論を重ねながら相互の信頼関係を築いていったことがよくわかる。
著者は、「韓国人」や「日本人」一般ではない個々の多くの友人をつくり、そのなかで自己を見つめ直すことができ、多くのことを学んだと述懐している。こうした謙虚な姿勢こそ「歴史の共通認識」の出発点となるのだろう。
(君島和彦著、すずさわ書店 2400円+税)
℡03・5386・3969
(2010.3.10 民団新聞)