掲載日 : [2010-06-09] 照会数 : 7370
高麗博物館「企画展」 日本の鳥居、しめ繩の源流を探る
[ 鳥の造形物が特徴的なソッテ ]
鳥居は韓国のソッテ
しめ縄も禁縄と類似
神社の象徴ともいうべき鳥居としめ縄は、「稲作の伝播とともに中国から韓半島を経て日本にもたらされた」との学説を独自に検証した企画展が、東京・新宿のミニ・ミュージアム「高麗博物館」で開かれている。鳥居やしめ縄を日本独自のものと思っていた人たちにこそ見ていただきたいと担当者は話している。
3年かけ現地調査
鳥居もしめ縄も、今日の神社神道では現世と神域を隔てる結界の役割を意味する。起源については諸説あるが、渡来人が稲作文化とともにもたらしたとする説は、大阪教育大学名誉教授の鳥越憲三郎さん(故人)が唱えたもの。
鳥越さんが着目したのは、新石器時代の初めごろ、長江の中下流地域で稲作を始めた「倭族」。「倭族」は長い稲作中心の生活の中から太陽、樹木、鳥、蛇をあがめる独自の民間信仰を生み出した。こうした民間信仰が稲作文化を伴って韓半島、日本へと伝わったという。
この説を裏付けるものが、雲南省とビルマの国境地帯に住むアカ族の村落の入り口に立つ「村の門(ロコーン)」。上には鳥を模した造形物を見ることができる。神の乗り移った鳥が止まるところ、すなわち鳥居だ。
韓国では悪鬼や病魔から村を守り、豊作をもたらすことを願い、村の入り口や道の両側に「ソッテ(鳥竿)」を立てた。ここでも木でつくった長い竿や石柱の上に鳥が止まっている。醤の甕に巻いたクムチュル(禁縄)は日本のしめ縄を思い起こさせる。クムチュルは白くて細い紙でトウガラシ、木炭、松葉などを取り付けている。
今回の企画展にあたっては、高麗博物館から複数の運営委員がチームを組み、約3年がかりで韓国と日本の神社や博物館など50カ所以上を回り、鳥居としめ縄を現地調査してきた。その成果は28枚のパネル写真にまとめられている。なかでも奈良県談山神社の神餅は、色彩豊かに高く盛りつけられており、韓国の祭祀時のお供物を思い起こさせてくれる。
元高校教員で、高麗博物館では古代史を担当している土岐祐子さんは、「日本の鳥居は韓国のソッテから変化してきたものではないかと考えている。この古来の文化をねじ曲げ、かつては神社信仰で多くの人を苦しめたことは残念です。今回の展示で、韓半島と日本をつなぐ悠久の歴史に思いをはせていただきたい」と話している。
8月29日まで(正午〜午後5時、月・火曜日休館)。400円(中高生200円)。7月10日は午後3時から講演会「東アジアの太陽信仰にみる三本足のカラスと龍」(萩原法子さん=文化庁文化審議会専門委員、了徳寺大学非常勤講師)。高麗博物館(℡03・5272・3510)。
(2010.6.9 民団新聞)