掲載日 : [2010-06-23] 照会数 : 4361
<読書>朝鮮通信使をもてなした料理 絢爛豪華な食文化の交流
朝鮮通信使は日本へ派遣された外交使節として、1607年から1811年にかけて12回来日した。各地で接待したのは、地元での饗応を幕府から命じられた御馳走人と呼ばれた大名や代官たちだ。
一行を迎えての経費は4、6、7回目の来日の場合、10万石以上の大名が負担し、2カ所を担当する場合もあった。6回目の接待費用は100万両を超すといわれる莫大な費用だが、通信使の接待に「巨額の出費をいとわない」とされたため、贅を極めたものだった。
正使、副使、従事官の3使をもてなす七五三饗膳は、儀式用の本膳料理の最高級の形式。内容は身分に応じて異なる。食事用の引替膳も同様だ。
第1章では、12回に渡る通信使の来日目的や料理の内容に触れる。さらに第2章では、献立の下段に史料の絵図が配されている。
好物の食料に触れるのは第3章。食料供給において、朝鮮人の嗜好を調べて各饗応地で好物を配給するような配慮が行われたという。10回目の来日時には、好物の種類は増えて好きな食べ物は63種、嫌いな物は8種。食料を確保するために、並々ならぬ努力が必要であったことが伺える。
饗応は使節団を迎える食事に、外交儀礼を尽くしたものだ。通信使と、それを迎える多くの日本人と食文化交流が行われてきた意義は大きい。
高橋子著
明石書店(2200円+税)
℡03・5818・1171
(2010.6.23 民団新聞)