掲載日 : [2010-06-23] 照会数 : 4260
<読書>渡来の原郷 白山・巫女・秦氏の謎を追って ルーツを探る韓国探訪記
3人の著者が、「白山信仰の謎と古代朝鮮」(前田速夫)、「朝鮮半島の呪術と霊魂観」(前田憲二)、「渡来文化と謎の民」(川上隆志)をそれぞれ記している。
出席した講演会で意気投合し、各自が長年あたためてきたテーマを、韓国への一緒の旅を通じてもう一度考え、1冊の本にまとめたのが本書。太白山脈や江陵端午祭を訪ね、秦氏の足跡をたどった。
訪韓歴100回を超す前田憲二氏は端午祭だけでも4回を数え、日本の祭りにも造詣が深いだけに、別神クッなどの記述は詳細で、日本との比較論が興味深い。信仰や民俗など渡来文化がもたらした「宝の山」は、この日本列島から外に出ることなく、数多く眠り、輝いている、との指摘には共鳴を覚える。
前田速夫氏は、白山信仰の開祖とされる泰澄の謎に迫った。渡来人秦氏とのつながりに着目し、韓国に多い「白」の字、北陸道における殺牛祭祀などの例を引きながら、白山信仰の本源とその流入経路について推察した。
川上氏は、石見や佐渡の金銀山を本格的に開発したのをはじめ、江戸期の経済発展に貢献した傑物、大久保長安を追跡した。大久保は秦氏の末裔で、能楽師の家系の出自であった。川上氏は、日本だけではなく、広くアジアの中で多面的に秦氏を捉えるべきだと提言する。
前田憲二ら共著
現代書館(2200円+税)
℡03・3221・1321
(2010.6.23 民団新聞)