掲載日 : [2010-07-14] 照会数 : 4185
<読書>日韓で考える歴史教育 教科書比較とともに 差異認識からのスタート
本書を読んで韓日両国の歴史教科書記述、とりわけ韓日関係史を見る視点が成熟してきたなと感じた。ここでは歴史解釈の是非・評価・批判は極力抑えられている。韓国併合100年とあって併合を前後する事実をめぐっての政治的、社会的な対立・応酬を期待した読者にはものたりないかもしれない。
教科書問題が表面化した82年は、日本の偏狭な民族主義的な考え方が韓国を刺激し、韓国も自国中心史観を押し出して対抗した。こうした民族感情や自国史優越主義に立つなかからは相互理解は生まれない。歴史はお互いの立場を洞察するところから始めなければならないからだ。
本書が目指したのは、韓国と日本の教科書にどのような歴史的事実がどのような分量で説明されているのか、そもそもの前提を共有することだという。両国の教科書になにが書かれているのか、なにが書かれていないのかを知ることは、生産的な議論の出発点になるはずだ。まず、双方の差異を認識するところから相互理解が始まる。
テーマを見ると、両国の中学校歴史教科書に登場する「百済から渡来した人々の足跡」「歴史教育における『通信使』」「関東大震災で韓国人を助けた布施辰治」「忘れられた戦争6・25」といった身近なものが並んでいて親しみやすい。
編集責任・梅野正信
明石書店(2600円+税)
℡03・5818・1171
(2010.7.14 民団新聞)