掲載日 : [2010-09-08] 照会数 : 4108
<読書>豊臣・徳川時代と朝鮮 戦争そして通信の時代へ 世界史で稀有の通信使
前半が16世紀末の「壬辰戦争」、後半が200年間にわたる「朝鮮通信使」の2部構成。いずれも著者のライフワークのテーマだ。タイトルの「豊臣時代」は朝鮮侵略、「徳川時代」は両国の国交回復および親善友好を象徴するものといえよう。
壬辰戦争では、各地で編成された義兵活動にかなりの紙面を割いている。義兵将の多くは在地の両班・土豪層で、郷村共同体を基盤に結集した。活動形態は地域的な特性によって多様な形態を示し、その戦闘力は日本軍にとって官軍より脅威であり、豊臣秀吉の野望を挫折させた大きな要因と指摘した。ほかに、義兵僧や、沙也可、鼻切りなどに触れている。
朝鮮通信使に関しては尾張藩の記録を中心に紹介。各藩が迎接に想像以上に気を配ったこと、天候による宿場変更、民衆は過重な負担にあえぎながらも使節の来日を心待ちにしていたことなど、詳細な記述は興味深い。
なお、今年は、松雲大師(義兵僧)没後および許浚撰著『東医宝鑑』完成から400年の節目にあたることから、これと関連した研究を収録している。本書を出すにあたり、1607年から1811年までの計12回にわたる朝鮮通信使が両国の信義関係を維持したのは世界史上でも稀有であることを知った、との著者の感想は印象深い。
貫井正之著
明石書店(4800円+税)
℡03・5818・1171
(2010.9.8 民団新聞)