掲載日 : [2010-09-08] 照会数 : 4106
<読書>追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯 「募集」が引き起こした離散
日本による韓国強制併合から今年で100年の節目を迎えた。植民地時代、生きる糧をサハリン(樺太)に求めたことで、一家離散に追い込まれた鄭一家の100年の歴史を、10年以上の取材と資料に基づいてまとめた。
植民地下、文字の読めない庶民は「土地調査令」の意味すらわからないまま、土地を奪われ、コメの半分を日本に供出させられ、食い詰めていく。無謀な戦争に突っ走った日本は、労働力不足を補うために「募集」という名のもと、朝鮮に労働力を求めた。
子どもを学校に行かせるという当局の約束を信じた父は、「金のなる木」と言われたサハリン行きを決め、単身で最果ての地に渡った。しばらくして、家族を呼び寄せることができたが、戦況の悪化にともなう政府の炭鉱閉鎖決定により、九州の筑豊炭鉱行きを命じられた。
サハリンに残された母は、「内鮮一体」教育で軍国少年になることを夢見る息子を心配するが、「皇国臣民の誓詞」が暗唱できないと汽車の切符も売ってくれない時代だった。日本軍の武装解除がなされたのは8月28日。敗戦とソ連軍侵攻は朝鮮人の手引きのせいだとでっち上げられ、虐殺された同胞もいた。
日本籍からロシア籍、そして朝鮮籍へと変わった国籍。サハリン同胞の苦難の歴史は今も続く。
片山通夫著
凱風社(1900円+税)
℡03・3815・7633
(2010.9.8 民団新聞)