掲載日 : [2010-10-20] 照会数 : 4943
<読書>坂本龍馬と朝鮮 むしろ独創性に乏しい男
NHKドラマ「龍馬伝」が人気を呼ぶなか、龍馬の人生や思想が天衣無縫で明るく、クリーンであった、という常識に疑義を唱え、それを朝鮮との関わりから検証した。これまでも、「司馬遼太郎と朝鮮」(批評社)などの著作を通じ、朝鮮(韓国)に理解があるかのように思われてきた著名日本人に鋭いメスを入れてきた。「朝鮮こそは日本人の思想にとって、偽らない姿かたちを映し出す鏡」だからだ。
龍馬のひらめきから生まれたという大政奉還も実は、幕臣のアイデアだったことなど、型破りで斬新な発想をもったとされる彼を著者は、「独創性にまったく乏しい男」で、むしろ周囲の影響を受けやすい人物だったと指摘する。
龍馬は「蝦夷地開拓」構想が頓挫すると、「竹島(鬱陵島)開拓」構想を唱えた。前者は林子平ら、後者は佐藤信淵、高杉晋作、吉田松陰らの二番煎じに過ぎない。この「竹島開拓」構想は、吉田松陰らによれば朝鮮・中国を獲る足がかりであった。龍馬は勢いを増しつつあった幕末「征韓論」の尻馬に乗った格好なのだ。
ドラマは龍馬に、「列強は日本を植民地にしようとしている」と語らせている。そうした危機感を持っていた根拠はない。本書はこの種の困った史観にいまひとつの警鐘となろう。
備仲臣道著 かもがわ出版(1500円+税)
℡075・432・2868
(2010.10.20 民団新聞)