
本書は03年10月に発行された「四百年の長い道‐朝鮮出兵の痕跡を訪ねて」(リーブル出版)の続編。今回、副題の「出兵」を「侵略」に変えた。
前回に引き続き兵庫県から東日本までの、壬辰倭乱で朝鮮から拉致、強制連行されてきた被虜人や子孫、日本に残る「壬辰倭乱の痕跡」の史実を掘り起こすために各地を訪ね、調査した。
壬辰倭乱では宝物や文化財を略奪したほか、必ずと言っていいほど、朝鮮の老若男女を連れて帰ってきた。その数は数万人ともいわれる。高橋是清公園(東京・港区)の朝鮮王朝時代の墓石(01年韓国側に返還)、御局役まで勤め、家禄を貰っていた朝鮮女性など、初めて知る事柄は多く驚くばかりだ。
著者は少年時代、学校の授業で「豊臣秀吉が死ななかったら、朝鮮はもっとはやく日本のものになっていた」という話に、民族的なコンプレックスを背負った。自らの幼い子らが韓国籍のまま、日本でどのように生きていけるかを案じ、400年前の先人たちの来し方を学びたくなった。 無念の死を遂げた一方で、活躍した被虜人がいたなどの事実を知るにつけ、改めて壬辰倭乱とは何だったのかを考えざるを得ない。日本に残された「400年の歴史」に向き合ってきた著者の真摯な姿勢が伝わる。
尹達世著
リトル・ガリヴァー社(1500円+税)
℡06(6775)9721
(2011.1.26 民団新聞)