
東アジアの近代黎明期、朝鮮は没落し、日本は興隆した。この差はどのように生まれたのか。筆者は歴史的教訓を得るべく「実事求是」の立場から追究した。
朝鮮王朝(518年間)と江戸幕府(265年間)はともに、長期間続いた最後の封建政権であり、今日までの両国のあり方を決するほど重要な精神的、文化的土台をつくった。始祖の李成桂と徳川家康は、生きた時代こそ異なるものの、名門の武家出身、大器晩成型の卓越した総帥、統治理念は儒教(朱子学)、短期執権で生存中の譲位など、共通項が多い。
しかし、朝鮮王朝は前期で創建期の勢いを減退させ、国力を漸減させていったのに対し、日本は江戸幕府の安定下に着実に力をつけ、政権中枢は衰退しても地方の活力は失われなかった。
徳川の幕藩体制は、中央政府が小さい地方分権型の独創的な統治体制だ。水準の高い教育、質実剛健な武士道精神、自助努力による地場経済の発展によって国力が蓄積された。朝鮮朝は過度な中央集権体制の下、朱子学原理主義、名分観念論、重文軽武にとらわれ、排他的党争や勢道政治によって国力を省みなかった。
同著の副題に「共通性と特異性」とあるように、多角的な観点から仕分けており、貴重な教訓が読み取れよう。
朴進山著
文藝春秋(1800円+税)
℡03(3265)1211
(2011.1.26 民団新聞)