
「金正日 破局に向かう『先軍体制』」を副題とする本書は、金正日時代の権力形態「先軍体制」の形成過程を検証、その特色、運営方法、内包している問題点などを分析し、後継体制の行方を探る。
「父子の路線対立と金日成死去」「『苦難の行軍』と金正日体制」「『強盛大国』と金総書記の統治スタイル」「金正日総書記の改革路線」「健康悪化、そしてミサイル、核」「後継体制への道」「デノミ政策の失敗」「岐路に立つ北朝鮮」など12章からなる。
北韓の新年3紙共同社説のタイトルは「今年、もう一度軽工業に拍車をかけ、人民生活の向上と強盛大国の建設において決定的な転換を実現しよう」であった。
しかし「先軍体制」を維持、核・ミサイル開発を推進する限り、国際社会との協調はなく、経済再建への道筋もつけることはできない。
著者は「人民生活の向上」を実現する道は、まず「先軍」の旗を降ろすことだと強調。「『先軍』の旗を降ろさなければ、北朝鮮の前途は暗い。金総書記に残された時間はそう長くはない」と指摘、「『先民』の『民』は『民衆』(人民)であり『民主』であり『民族』であろう。北朝鮮の民主化のスタートは、現政権が『軍』重視ではなく『民衆』重視の政治に舵を切ることだ」と決断を促している。
平井久志著
新潮選書(1300円+税)
℡03(3266)5411
(2011.1.26 民団新聞)