

チャイコフスキー国際コンクール
第14回チャイコフスキー国際コンクール(モスクワ、6月30日)で、韓国の若手音楽家5人が上位入賞を果たした。5人のうち4人は、海外留学経験がない。国内の音楽学校で教育を受け、芸術文化活動を支援する錦湖文化財団の後押しを得た。韓国国内の音楽教育を受けた〈純国産〉の若い逸材たちが、世界に向かって飛び立っている。
4人は留学せずに
世界に羽ばたくオリジナル教育
上位入賞者は、声楽でバスのパク・ジョンミンさん(24)、ソプラノのソ・ソニョンさん(27)がともに1位、ピアノ部門でソン・ヨルウムさん(25)が2位、高校生のチョ・ソンジンさん(17)が3位、バイオリン部門でイ・ジヘさん(25)が3位。
ソ・ソニョンさんは、「名前が読み上げられた瞬間、目の前が真っ白になり、これまで支えて下さった方々の顔が次々と浮かんだ。その方々に『ありがとうございます』とお礼を言いながら賞状を受け取った」と満面に微笑みをたたえた。
同コンクールは、ショパン国際ピアノコンクール、エリザベート王妃国際音楽コンクールと並ぶ、世界的に最も権威のある音楽コンクールの一つ。4年ごとに開かれ、「クラシックの五輪」と呼ばれる。
歴代韓国人の上位入賞は、74年の鄭明勲さん(ピアノ2位、米国籍)、90年にアジア人初の1位で、チャイコフスキー賞も受賞した崔顯守さん(声楽、米国籍)らがいる。だが、今大会のように1度の大会で、多数の上位入賞者を出した前例はない。
5人のなかで4人は、留学経験がなかった。親が多額の投資をして、早期留学(高校生以下で海外へ留学)をさせ、音楽家として大成させるという考え方は、もはや過去のものになりつつある。韓国オリジナルの音楽教育が、世界に通用することを示したのだ。
音楽家を目指す英才たちは、韓国芸術総合学校、ソウル芸術高校やソウル大学音楽学部などを目指す。韓国芸術総合学校は、文化部(現・文化体育観光部)で運営する4年生特殊大学として、93年に開設された。
最高レベルの教授法で指導
7部門ある学科のなかで、音楽院は国際的な音楽家を養成する世界最高の教育機関を目指している。教授陣は国内外の名高い音楽家らで構成され、現場経験を生かした独特の教授法で指導する。世界的な見識と実力を養成するためのプログラムや、卒業後に専門家として現場で活動できるようにする専攻深化教育、現場実習教育が多いのも特徴の一つ。
チャイコフスキー賞を受賞し、米国、イタリア、ドイツなどで、数多くのオペラ公演やリサイタルに出演する崔顯守さんも、後進指導のために同校の教授として教壇に立つ。
ソ・ソニョンさんとパク・ジョンミンさんの師でもある崔顯守さんは、「2人とも執念深いライオンのような学生。深く掘り下げ、舞台の上では勇敢だ」と語った。
今や「声楽大国」と評されるほど、クラシック界における韓国人の活躍は世界的となった。その一方で、韓国で韓国人に師事した若者たちが、頭角を現しつつある。
支援の推進役メセナ協議会
教育機関以外にも韓国では、企業が設立した文化財団による文化芸術支援活動が、各分野で活発な動きを見せている。94年に設立されたKBCA(韓国メセナ協議会)が調整・推進役になっている。
今回、4人が英才教育の後押しを受けた錦湖文化財団は、クラシック音楽と美術を重点に支援している。
98年からオーディションを通じて若手音楽家の卵を発掘し、演奏の場の提供や楽器を貸与、舞台でのマナー指導を行うなど、子どもたちの豊かな才能を伸ばすために貢献してきた。
現在、韓国では政府や企業などが乗り出し、文化芸術を通じて、韓国文化を海外に広める、国家ブランドのグローバル化を推進している。これはクラシック界も同様で、官民一体の協力が花開きつつある。
(2011.7.13 民団新聞)