
ソフトバンクグループの創業者であり、3月11日に発生した東日本大震災では自治体に100億円を寄付と、ポケットマネーから10億円を投じて「自然エネルギー財団」設立を明らかにした。
震災以降、エネルギー政策の転換を訴える孫正義の姿がクローズアップされた。「寄付していい気になっている」「過信している」などの手厳しい批判もあったが、読み進めるにつれ、通信事業もエネルギー政策も孫にとっては、同一線上にある大きな事業であることが理解できる。
本書では孫の最近の動向とともに、無名のころから縁のあった恩人や友が、孫の素顔を語っている。彼らは孫が苦境や危険に置かれたとき、または困難な場合に、ためらいなく助けた。
また、孫自らが尊敬している坂本龍馬との間に、共通点が多いのも驚く。
成功までの道のりは平坦ではなかった。佐賀県鳥栖市の無番地生まれ。不法住居地だ。貧困のなかで育った。ソフトバンクの理念は「情報革命で人々を幸せに」。その原点ともなる祖母との回想では、在日韓国人であるがゆえに経験する喜怒哀楽が語られ涙をそそる。
著者は「孫の成功談は、特に日本に住む韓国人には手本となり、刺激となる」と指摘。孫の生き方や考え方、精神を見習う手がかりになる。
津久居樹里著
現文メディア
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(2011.9.7 民団新聞)