
よみがえる「強制連行の記憶」
長崎県の沖合に浮かぶかつての海底炭鉱、端島は数年前から立ち入り制限が解除され、「廃墟」を求めて多くのツアー客が訪れる。ガイドは観光客相手にかつての島のにぎわいと繁栄ぶりを強調する。一方で当時、朝鮮人や中国人労務者が「監獄島」と恐れていたという負の歴史には触れようとしない。在日韓人歴史資料館(韓国中央会館別館)は第8回企画展で島の知られざるもう一つの歴史「朝鮮人強制連行の記憶」を記録作家、林えいだいさんが撮影した写真でたどる。
「監獄島」とは死を覚悟して脱走でもしない限り、容易に島から抜け出られないことから命名された。その姿が戦艦土佐に似ていることから「軍艦島」とも呼ばれた。第2次大戦中、「募集」や「官斡旋」という名目の強制連行で集められた朝鮮人は多いときで500人。中国人強制連行者も250人を数えたとされる。林えいだいさんの調査によれば、過酷な労働を強いられ、とりわけ朝鮮人の死亡率が際立っていた。
林さんは残された「火葬認許証下附申請書」をてがかりに死者の名前で韓国に手紙を送った。手がかりを得ると林さん自ら韓国に遺族を訪ね、克明なインタビューを行ってきた。さらに加害者側である元警察官、特高からの話も聞き取り、真実を掘り起こしていった。
今回の企画展では、林さんから在日韓人歴史資料館に寄託された強制連行関連の写真1200点以上の中から22点を選び、キャプションとともに展示する。
主なものは「軍艦島」の全景、通称「地獄門」、元朝鮮人寮、韓国で撮影した遺族の怒りの表情など。
林さんと在日韓人歴史資料館の関係は、林さんともゆかりの深い故崔昌華牧師に関する「企画展」を2010年夏に行ったのがきっかけ。林さんは「ここ(在日韓人歴史資料館)なら大丈夫」と昨年9月、段ボール8箱分に相当する一級資料と写真を寄託してきた。
「林えいだい写真展『軍艦島‐朝鮮人強制連行の記憶』」と題して10月4日〜12月24日(10時〜18時)。無料(ただし、常設展示室は有料)。日曜日と月曜日は休館。受付は3階で(℡03・3457・1088)。
(2011.9.28 民団新聞)