

逸話中心に楽しく
「深韓流」を誘う手引書
両書は「知れば知るほど面白い」シリーズ(じっぴコンパクト新書)として相次いで発刊された。著者は、韓日関係や韓国の文化・歴史・スポーツの分野で著作の多い在日2世(57)だ。なかなかの姿勢・視点をもっている。
「歴史は逃げていかない。それどころか、求めれば求めた分だけ、未来への示唆を与えてくれる。私たちは、日韓の歴史をもっと自由に解き放ってあげてもいいのではないか」と強調する。そうありたいと思う。
韓日両国は歴史認識をめぐってアツレキが生じやすい関係だけに、学者や政治家ではない一般市民でさえ、それぞれで通念になっている立場や観点から自由にはなり切れない。相手の言い分に理がある、あるいは一顧の余地があると思える場合でも、それに素直になることは節操を曲げ、妥協を意味するような感覚が残る。
両書ともキャッチコピーには「韓流ドラマが10倍楽しめる!」とある。著者は「歴史は逸話の宝庫」という観点をもち、歴史と「スッキリ」向き合い、「分かりやすく」することを心がけていて、ドラマに描かれたエピソードを切り口に韓半島の歴史を解説する。
しかも、一方通行ではない。日本各地の教養講座で、韓国をテーマに講演する機会が多い著者は、最近、歴史に関する質問が増えたと言い、日本人からの素朴な、ときには意外性のあるツッコミにも気を配っている。合わせて、高麗神社(埼玉県)や百済寺(滋賀県)、薩摩焼の沈壽官など史跡や系譜を紹介しながら、日本との関わりを身近に引き寄せて語っている。目次が具体的なうえに一話完結式になっているため読みやすく、どこからでも入りやすい。
『愛してる!! 韓国ドラマ』誌の編集長でもあるだけに、少ないものでも全120話、多ければ200話にも及ぶ大河歴史ドラマに通じている。韓流ドラマを楽しみながら、歴史認識の凝りをほぐすことに成功しているのも、その基礎があってこそだろう。
ドラマに端を発した「韓流」がK‐POP主体の「新韓流」につながり、それからさらに進んで学びを重点にする「深韓流」の出現が展望されている。その担い手は韓国歴史ドラマの日本人ファンたちだ。
韓流ドラマファンとの、ミーティング形式の勉強会といった趣が両書にはある。日本人よりは当然、韓国史を知っていると思っている同胞たちにとって、油断できない時代が来た。例えば、27人の王がいた朝鮮王朝で、王の名の最後が「祖」「宗」「君」の3つに分かれている理由を知っていますか?
康熙奉著
実業之日本社
(800円)
℡03(3535)4441
(2011.10.19 民団新聞)