
川崎の「らいこむ多文化教室」代表
外国にルーツをもつ子どもたちの母語教育支援をはじめ、地域の日本の子どもたちに外国語を学ぶ機会を提供する活動を行っている市民団体「らいこむ多文化教室」(朴海淑代表)。10月9日の「ハングルの日」には神奈川県川崎市内で記念の集いを開き、日ごろの成果を披露したり、多彩な催しを楽しんだ。
伸びる子を支えたい…日本児童には異文化への敬意も
1997年に韓国から来て、日本で暮らしているうちに、日本の子どもに比べて外国にルーツをもつ子どもたちの学力が落ちていることや、特に高校進学率が50%に満たないことが分かり、大変ショックをうけました。 2004年、有志が集まり、市民団体「らいこむ多文化教室」を発足させました。「らいこむ」とは、ライフ・コミュニケーションという英語から連想して作った独自の造語です。
国籍を越えて親も共通認識
子どもの言語の上達には母語が影響することが分かっており、らいこむでは外国にルーツをもつ子どもたちの母語支援と共に、地域の日本の子どもたちに外国語を学ぶ機会を提供する活動を展開してきました。
当初は、川崎市教育委員会の教育文化会館「市民自主企画事業」として、川崎市との共催で2010年まで、外国人の子どもたちの母語クラスや日本人の子どもたちの中国・韓国語クラスを開設し、中国・韓国を中心に言語教育と文化活動に取り組みました。初年度は40人の募集に対して120人が申し込むほどの想定外の反響でした。
この活動は、母語を学ぶ権利が保障されていない日本では、母語保障という象徴的な意味があります。母語を学ぶことで、自分のルーツについてより肯定的になり、誇りをもつようになってきました。
日本人の子どもたちにとっては、初めて日本語以外の言語を学んでみることで、同じクラスにいる外国人の子どもを理解する機会になり、今まで「外国人は日本語が分からない」存在から「日本語以外の言葉や文化が分かる人」へと認識が変化してきました。
保護者にとっても、子どもを連れて教室に参加することで、緩やかなネットワークもでき、外国人と日本人との区別なく、同じ子どもをもつ親として認識を共有してきました。
らいこむでは、子どもも大人も外国人はもう「ゲスト」ではなく、「普通の隣人」としてお互いの文化や言葉を学び合う同等の存在です。
2010年末に、活動をより専門的にするため、中国部門は別の団体として独立しました。2011年からは韓国部門のみ専門的に取り組む「らいこむ」として第2期を迎えることになりました。
震災の傷癒え新たな活動に
ところが、その矢先の3月11日に大震災が起こり、多くの外国人が帰国する事態になりました。子どもたちも、講師も帰国する人が多かったため、活動はほぼ休止状態に陥りましたが、9月から民団大田支部(東京)との共催で「総合子ども韓国語」クラスを開講、10月からは川崎市教育文化会館で「入門韓国語」・「子ども絵画」クラスが再開されました。
10月9日は「ハングルの日」記念の集いを川崎で開催しました。この日は、朝鮮時代にハングル文字が頒布された記念日です。韓国では多様な催しが開かれますが、日本でも記念の催しが行えたのは意義があると思います。韓国語を学ぶ子どもから大人まで、学習成果を披露したり、韓国の民謡や演奏を楽しむひとときになりました。
細々な活動ですが、子どもたちがルーツを誇りにもち、明るく成長していく社会のため、多様な文化が息づく日本社会のため、一歩一歩、これからも歩んでいきます。
(2011.10.19 民団新聞)