
日本における韓国文化の発信基地として多彩な事業を展開している韓国文化院が、5月で開院33年、韓国中央会館(東京・港区)から四谷(新宿区)に移転して3年目を迎える。さまざまなイベント開催で来館者も急増中だ。昨年10月に赴任した第11代目の沈東燮院長(48)は、在日社会への思い入れも深く、日本で活動する在日同胞アーティストの応援にも乗り出した。
支援イベント次々
新たなサービス意欲的に
「1番良いことは、韓国人として胸を張って生きること」
沈東燮院長の在日韓国人に向けた気持ちだ。大学時代、韓国に留学した在日学生と知り合い、寮生活をともにしながら親交を深めてきた。その友人とは今も連絡を取り合う。
「その時も在日問題には関心があった。今では在日の日本での暮らしを含めて、歴史的背景は理解している」。92年から3年間、韓国文化院(当時、池袋のサンシャイン60ビル5階)に文化官として赴任した。「来日して驚いたのは、在日の若者の多くが韓国語ができないことだった」
院長就任当時から「在日のアーティストを支援したい」と考えてきた。今、実現した企画は2つ。一つは、伝統音楽やクラシックなど、韓日の音楽交流に携わる在日と韓国人留学生を対象に、日ごろの活動成果を披露してもらおうとホールを提供することだ。演奏者を募集している。
そして「2012定期公演シリーズ」は、日本で活動しているアーティストを招くというもの。出演は在日の韓国伝統楽器演奏家のミン・ヨンチさん、韓国伝統舞踊家の鄭明子さん、金順子さんら。第1回目は4月13日に開催される。
アーティストへ視線そそぐ
文化院は79年5月の開院以降、韓国文化紹介、韓日文化交流、青少年交流支援などの事業に取り組んできた。在日アーティストの存在に注目したのは、おそらく沈院長が初めてだろう。在日に視線を注ぐ企画について「根本的なことをやるということ」と話す。
沈院長は昨年12月、「東日本大震災復興祈願 K‐POPコンサート in Sendai」を仙台サンプラザホールで開いた。
「韓流ブームによって、日本で多くの収益を上げている韓流アーティストは沢山いたが、震災後、被災地に行く歌手たちは少なかった。それで政府として果たすべき義務や責任から、被災地で応援の公演をやりたいと思った」
現在、文化院のホームページの会員は約10万人におよぶ。沈院長は会員たちとのコミュニケーション・ツールとしてツイッター、フェイスブックを開設。これは能動的なサービスが必要だと感じたからだ。さらに図書映像資料室では、韓国の国立中央図書館デジタルライブラリーと、国会図書館と連携し、原文検索サービスも開始するなど、環境を整えている。
運営への人材協力呼びかけ
韓流ブーム以降、多くの人たちの関心は、K‐POPやドラマに集中している。これからは伝統文化にも目を向けてもらおうと、常設公演を含めたさまざまな企画を立てている。
だが、大規模なイベントになるほど、文化院でも運営にたずさわる人材確保は大きな課題だ。「例えば、韓日が両国の伝統文化を通じて交流を深める『韓日祝祭ハンマダン』では、民団や韓人会(在日韓国人連合会)などの協力が必要。協力し合うことでシナジー効果がある」と今後の在日を含めた韓国人の力に期待している。
(2012.2.29 民団新聞)