
韓国で日本の歌謡曲を愛したアーティストたちが、K‐POPブームを支えていたという記述は興味深い。植民地時代から現代にいたる韓日音楽交流史を丹念に繙いた。
韓国は植民地支配の歴史的背景から解放後、日本大衆文化の流入を禁じてきた。さらに軍事政権時代には、韓国の一部音楽までもが規制を受ける。当時、音楽に多様性を求めるアーティストたちが、水面下で日本の音楽を聴いた。
68年末に日本で発売された「ブルー・ライト・ヨコハマ」は青春を謳歌した誰もが聴き、現代の若者へと歌い継がれてきたという。特に80年代半ばから90年代にかけてはK‐POPブームを牽引する関係者たちが、日本の音楽から影響を受けてきた。
日本の歌の規制が続いていた韓国で98年10月、段階的な日本大衆文化の開放方針が打ち出された。だが現在も完全開放には至っておらず、地上波では日本のドラマや歌は放送されていない。オペラ歌手として、また韓日の音楽研究家として活躍してきた著者は、これまで韓日のさまざまな歌が国境や玄界灘を超えていった歴史を耳にし、目撃してきた。「K‐POPの底にも、日韓の歌の歴史が眠っている」と確信してきた。
遥かなる昔の音楽が過去のものではなく、未来へ続いていくということを教えてくれる。
田月仙著
小学館
(1400+税)
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(2012.4.25 民団新聞)