
高麗博物館(東京・新宿区大久保)で特別企画展「『韓国併合』100年と在日韓国・朝鮮人」が始まった。韓国併合100年の節目にあたる2010年に「日本の植民地支配期」に焦点をあてたのに対し、今回の後編では、「在日と戦後社会」をテーマとした。
解放直後のコーナーで目についたのは、山口県の仙崎帰還センターで所持金を没収され、悲嘆にくれる同胞を描いた水彩画(オーストラリア戦争記念館蔵)。当時、帰国に際して許されていたのは1000円、貨幣価値にしてわずか、たばこ10箱分相当だった。
「在日として生きるコーナー」では60年代、対馬の山奥で炭焼きをしながら自給自足生活を送る親子3代の姿が興味深い。祖母は清潔そうなチマ・チョゴリで家事に励む。足にはコムシン。孫に囲まれ、貧しくとも満ち足りた様子が写真を通じて伝わってくる。小松川事件、日立就職差別裁判、金嬉老事件のほか、「日本と韓国どちらも僕にとって大事な故郷」とインタビューで答えたサッカー選手、李忠成選手の姿も紹介している。
今回の企画展制作委員会の責任者をつとめた高麗博物館の李素鈴理事は、「戦後の日本社会で在日韓国・朝鮮人が直面してきた様々な現実と課題を問題提起した。こうした歴史の記憶を風化させないで、共有していくことが求められる」と話している。
8月26日まで(月・火曜日休館)。開館時間12〜17時。入館料400円。℡03・5272・3510。
(2012.4.25 民団新聞)