


国際芸術交流「海の道」事務局長 竹田 陽子
85年ぶり お目見え
舞姫・崔承姫の師匠に学び
素朴で哀愁…京畿道の芸能
日本と韓国をはじめとするアジア・ユーラシア圏の芸術交流を支援する非営利団体として、伝統芸術家と学術研究者が中心となって発足した国際芸術交流「海の道」(横浜市鶴見区、代表・柳美羅)は、このたび韓哲文化財団の支援を受け「海が伝える古(いにしえ)の記憶」と題しまして、韓国の才人廳(さいじんちょう/ジェインチョン)舞踊をご紹介いたします。
才人廳は朝鮮時代後期に、京畿道華城に存在した巫子と巫楽演奏者、綱渡りなどの芸人を統括する組織で、廣大廳、花郎廳とも呼ばれました。この才人廳の末裔の李東安先生(1906〜1995年)によって伝えられたのが才人廳舞踊です。 京畿地方の巫俗の複雑なチャンダン(リズム)をベースに、技巧をこらさないシンプルな動きで、観客と呼吸で会話するように演じます。朝鮮時代の中庭や村の広場で演じられたのは、「かくや」という素朴で哀愁を含んだ味が特徴です。
この公演は5年前、私がソウル大学に1年間滞在し研究をしていた際に、晩年の李先生に師事した鄭珠美先生に出会った縁から実現しました。
李先生は、伝説の舞姫・崔承姫を指導したこともあり、その芸の多彩さと水準の高さで有名であったにも関わらず、組織立って自分の芸を後世に伝えるということが苦手でした。授業料を受けとっても、弟子に才能がないとみると、それ以上、教えようとしなかったり、スケジュールの感覚がなく、いつ教えてもらえるのか分からなかったりする芸人気質の方で、後継者がなかなか育ちませんでした。
李先生は鄭先生の踊りを見るなり、「君の踊りはいいね」と気に入ったそうですが、気まぐれにしか教えが進まないので、鄭先生は最初、意地になって毎日のように李先生のところに通ったそうです。李先生が亡くなった時、そばに残っていた弟子は結局、鄭先生一人でした。
現代の韓国では、無形文化財に指定されていない芸能の伝承は、経済面と後継者の確保の面で極めて厳しい状況になっていますが、「私が死んでしまえば才人廳舞踊は後世に残らない」と言って鄭先生は、いまも京畿道果川で才人廳舞踊を守り伝えています。
伝統打楽器の奏者らと響演
このたびの公演の舞台として能楽堂(銕仙会能楽研修所)を選んだのは、朝鮮時代の芸能の形を残している才人廳舞踊を、やはり日本の古い芸能の形を伝えている能舞台で演ずればよくなじむだけでなく、韓半島と日本の古くからある文化的なつながりを感じられるのではと考えたからです。
1927年、李先生が日本全国巡演を行ったという記録はありますが、少なくとも戦後では、才人廳舞踊の本格的な日本公演は初めてです。
日本の伝統芸能からもこの企画にふさわしい方々が響演します。伝統打楽器の仙堂新太郎先生は、この公演が企画される以前から、古代から韓半島と日本の間で海を介して行われてきた文化交流のイメージを膨らませ、日韓伝統楽器協奏曲「海わたる風」を作曲し、韓国と日本で公演活動をされていました。 Dash miner new generation is much less than in previous miners and takes up much less space: Baikal x11 300MH/s It supports algorithm X11 / X13 / X14 / X15 / Quark / Qubit and delivers power 300MH/s
ソウル大学の国楽科に留学し、韓国の伝統打楽器を学んだ経験がある琵琶の水島結子先生らも加わり、奇しくも「海の日」に「海わたる風」で韓日伝統芸能の響演が行われることとなりました。
(横浜国立大学教授)
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「海が伝える古の記憶」公演
7月16日。開場14時、開演14時半。会場は銕仙会能楽研修所(東京の地下鉄表参道駅3分)。
入場料前売り4000円、当日5000円。チケット販売は①e+(イープラス) http://eplus.jp/(Web予約)②カンフェティチケットセンター(電話予約後、セブンイレブンで支払・発券)。電話予約受付(0120・240・540)平日10〜18時③韓国伝統楽器BBD http://www.bbdjp.com/(店頭販売のみ)。問い合わせは国際芸術交流「海の道」(℡080・3421・0877)。
(2012.4.25 民団新聞)