

伽倻琴の第1人者迎え共演
伝統の共振を再び
横浜在住の箏曲演奏家、堀江久美子さん(63、日韓伝統音楽交流の会代表)は2002年8月、韓国の伽倻琴奏者に琴を教えたのをきっかけに、以来、両国の伝統音楽を通じた交流を続けてきた。5月18日、横浜能楽堂(西区緑ヶ丘)で開く公演「第6回韓国と日本の箏の調べ」では、前回同様、韓国を代表する伽倻琴奏者の一人、黄秉冀さんを招聘した。「日韓の平和」を願いながら地道に続けてきた交流活動は、静かに感動を広げてきた。 「黄秉冀先生を2回続けてお呼びできるとは思ってもいなかった」と言いつつ、来日演奏が決まって満面笑顔。本番に向けて準備に余念がない。
韓国の伽倻琴奏者に琴を指導したのは02年8月から。韓国・漢陽大学の伽倻琴教師で、演奏家としても活動していた千知恩さんが「琴を教えてほしい」と訪ねてきた。
当時、心臓弁膜症の手術を考えていた。一度は断ったが、千さんの音楽に対するひたむきな情熱にうたれた。それから毎月2泊3日でソウルから来日した千さんを約1年半にわたって指導した。 03年4月、千さんから演奏会を要望され、初めて「韓国と日本の箏の調べ」を川崎能楽堂で開催。隔年で公演を行っている。06年は漢陽大学で、08年は釜山大学で演奏会を行った。
漢陽大学での出来事は忘れられない。演奏会前日、琴用に編曲した喜多郎の「シルクロード」を同大の伽倻琴演奏団と合同練習した。堀江さんと仲間たちが部屋に入っても、皆、無表情。不安の中で始まった。独奏の場面のときだ。堀江さんの琴の音色に応えるように、伽倻琴が音をぴたっと合わせてきた。「まるで音楽で会話をしている感じだった」。嬉しさと感動で涙が出た。これまでの音楽生活で初めての経験だった。
「音楽に国境はないとはこういうことなんだと思った。最後は拍手をしながら泣く人もいた。それを実感できたのは私の宝」。会場は国楽を勉強している学生たちなどで埋まった。「ブラボー」という歓声と拍手が会場に響きわたった。あいさつで「皆さんの熱気を日本に持って帰ります」と大きな声で告げた。
韓国で知る若者の熱気
黄氏と初めて顔を合わせたのは09年。黄氏の夫人は小説家で、その翻訳をしていた友人が仲立ちした。友人は堀江さんの活動を黄夫妻に伝えていたのだ。09年6月、来日した黄氏に、演奏会の出演を切り出した。
初めて黄氏が出演した横浜能楽堂での演奏会は成功裏に終えた。「私がほそぼそやってきた会に、素晴らしい先生がお見えになり、皆さんにも喜んでもらえた。また、今回も黄先生にお願いできないかと思った」
公演を続けてこられたのは、韓国の若者たちの熱気を日本で伝えたいという使命感だと言う。伝統文化の交流が少ない中で、地道な活動を続けてきた堀江さんに、黄氏も「共感し、少しでも力になれればという思いをして下さっていると思う」と話す。
「これからも音楽の交流を続けながら、日韓が平和になっていくことが私の一番の望み」と語る。
「韓国と日本の箏の調べ」
開演14時半。入場料4000円(全席指定)。横浜能楽堂チケット売り場、窓口販売のみ(℡045・263・3055)、問い合わせは堀江(℡045・752・4086)。
(2013.4.24 民団新聞)