
本書は、近代の韓日関係史を韓国併合までを射程に通史的に叙述した論集。朝鮮史研究者と日本史研究者8人が一堂に会して行った共同研究の成果をまとめたものである。
日本と朝鮮(韓国)の近代史は、ともに一国史の枠内では理解できない。韓日関係史は、これまで類書が少なからず出ているが、日本史と朝鮮史の文脈を同時に意識しつつ叙述されたものは、あまり例を見ない。
近代の関係史であるにもかかわらず、近世から始められている。近世の朝鮮社会と日本/通信使外交の虚実/明治維新と征韓論の形成/大院君政権の攘夷政策と日本/甲申政変と日本/日清戦争と朝鮮/日露戦争と朝鮮/国権回復運動と日本/朝鮮の植民地化と韓国併合/近代日本の朝鮮観など13章からなる。
歴史的文脈への関心がないと、特に近代の国際関係史などは、ややもすると当該国為政者間の政治・外交ゲームのような叙述の仕方になってしまう可能性がある。本書ではそうした問題は避け得た、と編者は自負する。
大学の教科書として活用されるよう、参考文献のほかにコラムや史料も掲載、読者がイメージをふくらませられるよう配慮されている。学生だけでなく、今後の日本と韓半島南北との関係を考える人には、読んでほしい一冊である。
趙景達編
有志舎(3400円+税)
℡03(3511)6085
(2013.5.29 民団新聞)