
領土や歴史問題で不毛な論争を繰り広げ、対立感情だけをあおる韓日両国に対して、等距離の立場から苦言を呈している。両者を複眼思考で見られる在日3世ならではの示唆に富んだ内容だ。
「そもそも竹島ってもともとは日韓どっちのものだったの」といった素朴な疑問を20項目あげ、1問ずつについて著者が簡潔に答えている。両国の主張に目配りしながらも、最後は経済、文化などの実生活での互恵関係の重要性を説く。
独島領有権問題については、「日本が国際司法裁判所に提訴しても勝ち目がないだろう」という日本外務省OBの証言を紹介しながら、猛々しい言葉だけが先行する日本の首相をいさめる。さらには、領土紛争の前に、両国の漁船が周辺水域で平等に操業できる仕組み作りこそが先と説く。
歴史認識をめぐっては、韓国や中国をクレーマー呼ばわりしている日本に、「自縄自縛になっているくらいなら、いっそのこと近隣諸国条項をなくしてしまえ」と主張する。返す刀で「村山談話」に触れていない韓国の教科書にも苦言を呈し、極端な「愛国教育」は憎悪の連鎖を招くだけと危惧している。
ぎくしゃくした外交関係に心を痛めた著者は、最後に「友邦どうし争っているのは、双方にとってマイナスでしかない」と説く。
朴一著
講談社(1300円+税)
℡03(5395)3622
(2013.5.29 民団新聞)