
地域ぐるみで より良い街づくり
2012年11月、全北完州郡で、日韓コミュニティ‐知的交流事業「持続可能な農村、エネルギー自立は可能だ」が開催された。会場は、農村地域の廃校を利用した、完州コミュニティ‐ビジネスセンター。パーマカルチャーの理念で韓国におけるエコロジカル活動をリードしてきた、イム・ギョンス氏が主宰する施設である。
このイベントでは、ロケットストーブ、太陽熱利用壁等、エコ技術のデモンストレーションや、福島原発事故以降の両国におけるエネルギー自立問題を取り上げたシンポジウム等が行われた。
政府主導の中市民も活発に
地球環境の危機が叫ばれて久しい今日、やはり韓国においても、政府主導で全国600カ所に低炭素グリーン村を造るなど、「持続可能な社会」をめざした動きがある。しかし、こうした流れのなかで見落としてはならないのは、多数存在する、市民や地域ベースのアクションだろう。
例えばイム氏が代表をつとめる環境コンサルタント「E‐Jang」が設計した、忠南舒川郡に位置するエコビレッジ「サンノウル村」。造成当初から、住民参加型の村づくりを行い、パーマカルチャーの手法で環境に配慮した空間・コミュニティ‐をデザインした。エネルギーの8割を自給自足でまかない、韓国環境省からは「自然生態優秀村」として指定されている。
また、08年にスローシティ‐となった、全南潭陽郡昌平面三支川村は、歴史文化財である伝統家屋と、農業や地域コミュニティ‐を中心としたまちづくりを特色とし、多くの観光客でにぎわう。
都市部の例でいえば、ソウル中心部麻浦区の「ソンミサン村」。一見するとふつうの住宅街だが、実は30代の夫婦25世帯が、共同出資して開設した保育所を発端に、子供の成長や生活ニーズに応じて発展してきた。有機農産物流通のための生活協同組合立ち上げや、子どもも参加した自然保護運動、フリースクール創設等、教育や暮らしに対する住民の思いが、より良いまちを実現してきた。
同じくソウル、北村にある「趙氏家屋」は、古い民家を建て替えたが、外観と1階の間取りは伝統家屋そのものの住宅である。しかし、改良した床暖房「オンドル」や、季節ごとの気温変化を生かす建具「ブンハップ」(格子戸)を使い、高層マンション志向である都心の傍にありながら、伝統と現代性が巧みなバランスをもつエコハウスを実現させた。
木浦大学には、歴史ある「土建築」を近代技術と融合させ、新構法の開発を行う土建築研究所があるが、一方ではアースバック建築(土嚢袋に土を入れ、上から圧迫していく建築工法)やストローベイル建築(藁の魂・ブロックを壁材として使用する建築工法)など、近代的なエコ建築技術を研究する人々もいる。
自然建築の建材や構法を普及させ、住環境と暮らす人の健康改善をめざす組織も存在し、自然建築についても多彩な取り組みが見受けられる。
エネルギーの自給自足にも
地方では、地域の文化・習慣・社会・経済に配慮した技術によって、エネルギー自立問題に取り組む団体が活躍する。キム・ソンウォン氏は「土嚢生活技術ネットワーク」を設立し、ロケットオーブン、蓄熱暖炉など農村生活における自給自足のための技術普及に取り組んでいる。
ガスタービンの技術者であったカン・シンホ氏は、風力発電機の設置をきっかけに再生可能エネルギーの研究に目覚め、「代替エネルギー技術研究所」を立ち上げた。廃校を利用した施設内では、隣接するフリースクールの学生などに支援も行う。
このように、近年韓国では、コミュニティ‐づくり、自然をいかした建築、地産地消型のエネルギー戦略を志向する、草の根的な動きが活溌化している。伝統と革新を融合させた、多様に展開する韓流エコアクションの未来に期待したい。
寄稿=ビオシティ編集部
(2013.6.12 民団新聞)