
多文化共生願い強く
アジア児童文学日本センター主催のシンポジウム「多文化社会の構築に向けて‐コリア児童文学の現在を中心に」が7日、京都教育文化センター(左京区)で開かれた。パネリストの韓国児童文学研究「オリニの会」主宰で翻訳家の仲村修さん、児童文学作家のキム・ファン(金晃)さんらが、韓国の児童文学を中心に話しあった。会場には学校教師や児童文学に関心を持つ40人余りが参加した。
キムさんは、在留外国人の増加を背景に、今、韓国で最も支持を得ている「多文化共生」をテーマにした児童書を紹介しながら、問題点に言及した。
京畿道安山市元谷洞には、外国人労働者が多く住む「国境のない村」がある。最新の調査によると、6万5000人の外国人が暮らし、住民の約70㌫を占めるという。
キムさんが紹介したパク・チェラン作『黒いから暑くない?』(2007年刊行)は、パクさんが「国境のない村」に1年以上通って、見聞したことをまとめた『国境のない村』に続く作品だ。 『黒いから暑くない?』は、3作のオムニバス。「ティナ、待っていてね!」は、父親の学位取得のためにアメリカに行くが、英語が話せないことに耐えられず帰国した少女、ミニョンが主人公。ある日、クラスに韓国サッカー代表を応援する赤いTシャツを着た女の子、ティナがフィリピンから転校してくる。ミニョンは言葉が通じず苦しんだ自分を、韓国人に認められようといつもサッカー応援団のTシャツを着てくるティナにダブらせながら理解していく。
「新しく知り合った友だち」は、モンゴルからの出稼ぎ労働者の子として韓国に暮らす男の子が主人公。この作品も言葉による差別を描く。
表題作である「黒いから暑くない?」の主人公のトンギュは、韓国とフィリピンのダブルの男の子だ。アイスクリームを食べすぎないよう友人を気遣ったのに、「お前は黒いから暑くないかも知れないが、オレは暑いんだ!」と罵られる。
キムさんは「トンギュのように韓国語が流暢に話せても、肌が黒いことで差別を受けている子もいる」と指摘した。
パク・チェランさんが広く知らしめた「国境のない村」は「多文化村特区」の指定を受け、学校における多文化教育理解、地域住民と外国人との相互理解などのさまざまな取り組みを行っている。
他国労働者が多いからこそ
キムさんは「韓国はアジア各国から労働者を受け入れていることからダブルの子どもも多くいる」と指摘し、「『黒いから暑くない?』などの児童書は、人権問題などを考えるいい教材として支持されている」と話した。
仲村さんはこれまでの翻訳活動から、韓国の児童文学の状況について説明した。「韓国は小学生の間は児童書が良く読まれるが、中高生になると受験に備えて学習物を中心に読まれることから、せっかく優れた本がたくさんあるのにもったいない」と残念がる。
質疑応答では、「キム・ファンさんが紹介した韓国の児童書は日本社会でも役立つので、早く翻訳してほしい」「日本のこのような児童文学を大人としてどう受け止めるべきかが課題になる」などの意見が寄せられた。
(2013.9.25 民団新聞)